【取材】パブリックブロックチェーンConcordiumが約17億円の調達を発表、調達はSAFTスキーム(Concordium Japan Head 太田真氏)

パブリックブロックチェーンConcordiumが約17億円の調達を発表

スイスに拠点があるパブリックブロックチェーンのコンコーディウム(Concordium)がトークンのプライベートセールを行い約17億円($15.7M)を調達したことを発表した。

資金調達は、SAFT(Simple Agreement for Future Token)スキームで行われた。また調達資金は開発費として費消される予定のようだ。

あわせて、コンコーディウムは顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトの状態であるMVP(Minimum Viable Product)のテストネット実装を終えたことも発表している。

現状はテストネット4で、2,300以上のDID発行、7,000以上のアカウント作成、1,000以上のアクティブノード、3,600以上のウォレットのダウンロードが確認された。 

そしてテストネットの実装が成功したことで、Rust言語をベースにしたコンコーディウムのスマートコントラクト機能がリリースされた。コミュニティメンバーから選ばれたグループがネットワークのストレステストに参加。スマートコントラクトのテストでは、ゲーム、クラウドファンディング、タイムスタンプ、投票などがテストされたようだ。

コンコーディウムは2月の下旬にボルボの親会社である中国のジーリーホールディングスとジョイントベンチャーを設立することを発表している。

コンコーディウムCEO ローン・フォンシュ・ローダー(Lone Fonss Schroder)

コンコーディウムのCEOであるローン・フォンシュ・ローダー(Lone Fonss Schroder)氏は「Rust言語開発者、VC、システムインテグレーター、ファミリーオフィス、暗号資産サービスプロバイダー、個人の方々などからのコミュニティへの関心の高さには驚かされています。

コンコーディウムは、プロトコルレベルでIDを使ったブロックチェーンを構築しようとしているDeFiプロジェクトからの強い要望を受けています」とコメントしている。

あたらしい経済編集部はConcordium Japan Lead 太田真氏へ取材を行った。

 Concordium Japan Leadの太田真氏へ取材

ー今回のPrivate Saleはどのようは方法で投資家から資金を調達するものだったのでしょうか?

太田真(以下:太田)大きく2つのグループに分けられると思います。ひとつのグループは、従来の投資家であるVC/ビジネスエンジェル/ファミリーオフィス、そして暗号資産投資家であるVC/プール。

Concordiumのビジョンに共感するまたはConcordiumが取り組む未来のトレンドの市場規模など、将来性のあるプロジェクトとして見て集まった人たちです。

もうひとつのグループは、ネットワークの構築に関わる開発者、インスフラサプライヤー、そしてベーカーと呼ばれる分散型ネットワークとコンセンサスプロセスに貢献するノードです。

Proof-of-Stakeを実装するConcordiumネットワークでベーカーになるためには、ある一定以上のメインネットトークンを保有する必要があり、必然的にConcordiumプロジェクトへ投資する形になります。

今回の調達は主に、ヨーロッパとアジアの投資家たちでした。米国と中国から資金調達はありません。

ーなぜ投資家はConcordiumに投資を行ったと考えますか?

太田:投資家たちは、Concordiumのビジョンそのものに投資をしていると考えます。

それは、プライバシーとコンプライアンスを中心とした、ユーザーアイデンティティをプロトコルレベルで実装する、初のパーミッションレスブロックチェーンです。ID識別管理の市場規模は2026年までに1兆円を超えると言われています。

Concordiumの、その市場の中心的な存在になるというミッションは、投資家たちをそのビジョンに惹きつけることができたと考えます。

ー日本市場を含め、今後のConcordiumの展望を教えてください。

太田:まず、直近では最後のテストネットをリリースしました。Rust言語をサポートするスマートコントラクトを実装し、ネットワークの耐久性も証明されています。

Concordiumはプロジェクトをスタートしたときから、大学と共同でサイエンスベースの設計構築を繰り返してきました。2021年6月に予定するメインネットの開始へ向けて、サイエンスベースのプロジェクトからエンタープライズサービスへの変革を行います。

今後もConcordiumは、世界の開発者たちと共にエコシステムの構築を最優先に活動を行います。具体的には現在Rust開発者コミュニティをグローバルでサポートするために動いています。

Concordiumのグローバルミッションは、そのまま日本での活動のミッションでもあります。

日本では、Fintech協会の法人会員に加盟しました。今後、開発者コミュニティをサポートして、ユーザーアイデンティティの課題を解決する初のエンタープライズサービスのエコシステムを構築するためのあらゆる活動を行なっていきます。

参考:Concordium Raises $15M in Private Sale and Completes MVP Testnet

(images:iStocks/mycola・Максим-Ивасюк)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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