豊田通商がCordaを活用した船舶業界の受発注業務を一元管理するクラウドサービスを6月に提供開始へ
豊田通商株式会社がブロックチェーン技術を活用し、船舶向け燃料や潤滑油の受発注を一元管理する業界初のクラウドサービス「BunkerNote(バンカーノート)」を、2021年6月より内航船社、燃料サプライヤー、燃料配給船社向けに提供することを発表した。「BunkerNote」のブロックチェーン基盤はR3のCorda(コルダ)が活用されている。
「BunkerNote」の利用推奨環境としてiPadとGoogle Chromeがあげられている。
サービスを開始する背景として「生産性向上および国際競争力の維持・強化に向けて、働き方改革や非接触・非対面型物流システム構築の必要性が高まる中、船舶燃料業界におけるデジタル化の遅れが課題となっています。
国内では電話・FAXによる受発注や、船上で手書きの納品書を作成するなどの商慣習が残っており、書類の処理や整合性の確認に多くの時間が必要となっています」と豊田通商のリリースで記載されている。
企業は「BunkerNote」を導入することで、燃料発注から納品確認、請求書発行、受領までをオンラインで処理し、関係者間でリアルタイムに進捗を共有することができ、これまで必要だった書類の送付や保管、情報の整合性確認、手入力による転記などの作業が不要となるようだ。
BunkerNoteを導入する前
BunkerNoteを導入した後
さらに船舶燃料受発注業務の作業時間を大幅に削減することができるようになる。また、燃料受発注に関わる取引情報はブロックチェーンに記録されることで、データの原本性が担保される仕様となっている。
そして国土交通省は豊田通商が取り組む「BunkerNote」の計画を海上運送法第39条の11に基づく先進船舶導入等計画として、3月3日に認定した。
(追記:3月9日)
あたらしい経済編集部は、国土交通省の担当者へ取材を行った。
国土交通省担当者へ取材
ー国土交通省はデータの利活用を促進する上で、 セキュリティなどの観点として、 ブロックチェーン技術はどのように捉えられてますか。
国土交通省担当者:例えば、国土交通省が所管している海事業界においては、 2015年に設立された株式会社シップデータセンターが、 船舶の運航データを収集・蓄積したビッグデータを構築し、 業界関係者が一元管理されたデータを様々な目的で利活用できる環境を整備するなど、 IoT技術等の発展を背景としてデータの利活用が進んでいます。
こうした中、 海上運送サービスの信頼性や船舶運航の安全性に関わるデータは、 盗難、 改ざん等の悪意ある攻撃に対して堅牢性を高める必要があります。
今後、 このようなデータにも応用できる強力なブロックチェーン技術が生まれれば、 業界全体のサイバーセキュリティ向上と更なるデータ活用促進の一 助となるのではないかと思います。
編集部のコメント
豊田通商はブロックチェーンの説明として「暗号技術により、取引履歴を過去から1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持する技術。情報を特定のサーバーで集中管理せず、ネットワーク上で繋がるユーザー端末同士で分散させて共有・管理することで、電子情報の改ざんやサーバーダウンによる破損や損失を防止できる」とリリースで説明しています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStocks/4×6・Igor-Korchak)