米国証券保管振替機構の株式精算のためのブロックチェーンプラットフォームが2022年3Qにローンチか
米国証券保管振替機構(DTCC)と子会社のトレード・インフォメーション・ウェアハウス(Trade Information Warehouse:TIW)が共同で開発する株式精算のためのブロックチェーンプラットフォームが2022年後半にローンチの予定であると2月4日にLedgerinsightsが報じた。このプラットフォームはイーサリアム基盤のブロックチェーンである。
トレード・インフォメーション・ウェアハウス(TIW)は株式の取引情報を保管・管理する企業。TIWはクレジットデリバティブの清算取引および店頭デリバティブ取引の記録保存及びアセットサービスの業界初のインフラとして、3つのサービスである記録保持、ライフサイクルイベントの処理、集中決済のオペレーションの自動化を提供している。そして現在TIWは世界中で約10兆ドル以上の証拠金デリバティブ取引の処理を行っているとのことだ。
このプラットフォームは2018年に世界の15銀行がテストしており、2019年のローンチが予想されていたとのこと。
Ledgerinsithsはプラットフォームローンチの遅延理由などを探るためにDTCCの広報担当者に取材。
DTCCの広報担当者は「数年前からDTCCとイギリスの金融情報およびサービス会社であるIHS Markitは、クレジット市場のインフラの近代化に向けて協力してきましたが、これは業界最大かつ最も複雑な取り組みの一つです。この取り組みの一環として、DTCCとIHS Markitは業界をリードする革新的な技術を用いて、それぞれの商品を提供するプラットフォームを変革しています」と答えている。
DTCCはIHS Markitの信用照合プラットフォーム「TradeServ」を利用するために、機能がアップデートされた。
さらにDTCCの広報担当者は「DTCCのTIWとIHS Markitの信用照合・確認サービスの相互依存性を考慮すると、両プラットフォームはTradeServの立ち上げに続いて、両社および業界との広範なテストを経て、同時に立ち上げられることになります」と取材に対して答えた。
これらの取材から、Ledgerinsightsはこのブロックチェーンプラットフォームは2022年3Qにローンチされるのではないかと報じている。
編集部のコメント
1月末に株式取引アプリのロビンフッドがDTCCへの証拠金積立不足であることを理由に、30億ドルほどの資金調達を余儀なくされました。原因は株式の精算が3営業日後に行われるからです。
ブロックチェーン技術を活用すれば、リアルタイム決済が可能になる可能性は高いです。実際にDTCCはその実現に向けて取り組んでいます。
DTCCは分散型台帳(DLT)と資本市場の統合を目的とした2つのプロジェクトを稼働させていることを2020年5月22日に発表しています。
その際に発表されたのは、公開株の代替決済サービス「Ion(イオン)」と、私募証券の発行・取引所のセキュリティ・トークンプラットフォーム「Whitney(ホイットニー)」です。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStocks/vitacopS・pgraphis)