Visaが銀行やネオバンクにデジタル資産の購入機能を提供する「Crypto APIs」発表

Visaが銀行やネオバンクにデジタル資産の購入機能を提供する「Crypto APIs」発表

大手カード会社Visaが、銀行がビットコインなどのデジタル資産の売買サービス機能を容易に取り入れられるAPI機能「Crypto APIs」をデジタル銀行アンカレッジ(Ancharage)と共同で開発・テストしていることを2月3日に発表した

そしてアフリカ系アメリカ人向けのネオバンクであるファースト・ブールバール(First Boulevard)が「Crypto APIs」を導入したことも明らかになった。ネオバンクとは、銀行免許を持たずに既存の銀行と提携して、ネット上で銀行サービスを提供する企業のことだ。

Visa が開発する「Crypto APIs」のパイロットプログラムでは「Visaのパートナーである連邦政府公認のデジタル資産銀行であるアンカレッジが提供するインフラに簡単に接続し、顧客が既存の消費体験の中で、投資としてビットコインなどのデジタル資産を売買できるようにする」とプレスリリースで記載されている。

Visaの「Crypto APIs」の開発は、ネットワーク・オブ・ネットワークとしてのVisaの役割を拡大することに焦点を当てたVisaのデジタル通貨戦略の次の段階を示すものとのことだ。初期の実証段階では、独自のデジタル通貨インフラを持たない金融機関が成長を続ける暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーンネットワークの世界に参入するために、Visaのプラットフォームを活用する方法を模索していくとのこと。

Visaの最高プロダクト責任者であるジャック・フォレステル氏は「Visaをデジタル通貨と7000万人の加盟店のグローバルネットワークとの架け橋にすることを目指しています。そして現在では35の暗号資産プラットフォームがVisaでのカード発行を選択しており、暗号資産ウォレットのリーディングネットワークとなっています。

このパイロットプログラムでは、暗号資産やブロックチェーンネットワークへの簡単なブリッジを提供することで、ネオバンクや金融機関のお客様にVisaの価値を高めていきたいと考えています」とコメントしている。

アンカレッジの社長兼共同創業者であるディオゴ・モニカ(Diogo Monica)氏は「Visaのcrypto APIsパイロットプログラムは、資産クラスとしての暗号資産の普及と、決済や金融サービスへのアクセスのしやすさと包括性の両面で重要な一歩です。Visaとファースト・ブールバードと協力して、より安全で公平な金融の未来のためのインフラを構築できることを嬉しく思います」とコメントしている。

そしてファースト・ブールバードの社長兼CEOを務めるドナルド・ホウキンズ氏は「First Boulevardのミッションは、黒人の富の構築を支援することです。デジタル決済のリーダーであるVisaと提携し、彼らのCrypto APIsを活用することで、黒人コミュニティに新たなチャネルを提供し、黒人の富の構築に役立つ新しい資産クラスとして暗号資産にアクセスできるようになることを嬉しく思います」とコメントしている。

今後ファースト・ブールバードは「ファースト・ブールバードVisaデビットカード」を発売する予定とのことだ。このカードの目的は早期直接入金による賃金への早期アクセス、支出習慣を改善するための金融教育や予算編成ツールなどデジタルファーストの機能を提供することのようだ。

またファースト・ブールバードは、消費者がお金や投資に関する重要な概念を学ぶために、短めのポッドキャストを配信し、金融リテラシー教育をコアプラットフォームに組み込むことを計画しているとのこと。

そしてVisaはファースト・ブールバードと協力して、プラットフォーム上で教育リソースや教材を開発し、十分なサービスを受けていないコミュニティが新しい資産クラスや暗号資産をより利用しやすくなるように支援していく予定だ。

編集部のコメント

Visaの暗号資産事業のトップを務めるカイ・シェルフィールド(Cuy Sheffield)氏は「ネオバンクのファースト・ブールバードがパイロットに参加した最初の銀行で、Visaは他の銀行のために待機者リストを発行しています。

また私たちは、ビットコインを購入するためのドルコストの平均化や、ビットコインを報酬として還元するようなものについて、初期のテストや消費者のエンゲージメントがどのようなものになるのかを見ることに興奮しています」とCondeskの取材に対して答えています。

つまりVisaは銀行免許を取得せずとも銀行サービスを提供しようと考えている企業のためにCrypto APIsを提供し、十分に経済アクセス機会が提供されていない若者や黒人などにサービス提供を拡大させていく狙いがあるのだと考えられます。V

isaとアンカレッジが提供する「Crypto APIs」の影響で、今後アメリカ国内でネオバンクが増加すると思われます。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStocks/iBallBall14・LongQuattro)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【9/6話題】テレグラムCEOが逮捕後初の声明、トランプが米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言など(音声ニュース)

テレグラムCEO、逮捕後初の声明発表。同社使命に同意できない国からは撤退の意志も、トランプ、米国を「暗号資産とBTCの世界的中心地」にすると宣言。イーロンマスクと共に米政府財務監査行う姿勢も、スイ(SUI)、機関投資家向け米ドルステーブルコイン「AUSD」利用可能に、モジュラーブロックチェーン「Elixir」、最終テストネット公開、EigenLayer、メジャーアップデート「アイゲンポッドアップグレード」導入、FlowがEVM対応開始、メタマスクでも利用可能に、TONブロックチェーン、総トランザクション数が10億件を突破、半数は3か月、Penpieで27Mドルの不正流出、Pendleは105Mドルの保護に成功

Sponsored

暗号資産決済Mercuryoがマルチチェーンデビットカード提供開始、マスターカードと提携で

暗号資産(仮想通貨)決済プラットフォーム「マーキュリョ(Mercuryo)」が決済大手の米マスターカード(Mastercard)と提携し、ノンカストディアル型のウォレットから暗号資産を直接使えるマルチチェーンデビットカード「スペンド(Spend)」の提供開始を9月5日発表した