2割の中央銀行は3年以内にデジタル通貨発行か(国際決済銀行の調査)

2割の中央銀行は3年以内にデジタル通貨発行か(国際決済銀行の調査)

国際決済銀行(BIS)が全世界の中央銀行の中央銀行デジタル通貨に対する取り組みに関する調査レポートを1月27日に発表した。調査レポートの名称は「Ready, steady, go? – Results of the third BIS survey on central bank digital currency」だ。

BISはレポートで「世界の中央銀行のうちが2割が、今後3年以内に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する可能性が高い」と示唆している。

BISのレポートでは、中央銀行デジタル通貨の現状に関して「ほとんどの中央銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の研究を行っており、Covid-19が大流行する中、その研究は急速に進んでいます。全体として、中央銀行は概念的な研究から実用的な実験へと進んでおり、CBDCへの取り組みのより高度な段階に移行しています。

世界各地では、CBDCへの関心は地域の状況によって形成され続けています。新興市場や発展途上国では中央銀行の動機が比較的強いと報告されていますが、金融包摂と決済効率化の目的が一般的なCBDCの活動を後押ししています。これらの動機を示すものとして、バハマでの初の本番CBDCの立ち上げがあります。

そして世界の人口の5 分の1に相当する国の中央銀行が今後3年以内に現金の代わりとなるCBDC(General Purpose CBDC)を発行する可能性が高いです。しかし大多数の中央銀行が当面の間、CBDCを発行する可能性は低いでしょう」と記載している。

BISはCBDCには「1.General Purpose CBDCと2.Wholesale CBDC」の2種類が存在すると考えている。

General Purpose CBDCは一般の人が現金の代わりとして利用するもので、Wholesale CBDCは既にデジタル化されている中央銀行の預金口座をブロックチェーン等の技術で管理し、大口決済専用の決済通貨とされるものだ。

BISは結論として「金融包摂は新興国・途上国全体の主要なCBDC開発の動機であり、CBDC開発の最優先事項であることに変わりはないです。先進国では、CBDC発行の必要性は一般的に低く、主な関心事は決済の効率性と安全性に関連しています。また一般市民が中央銀行の貨幣を継続的に利用できるようにするための注意事項(取引用現金の漸進的な減少に関連)は、繰り返しのテーマとなっています。

中央銀行がデジタル通貨を発行することによる国境を越えた経済的な意味合いを徹底的に見直し、技術的な設計の選択と運用の複雑さが現実的な課題を提示し続ける中、CBDCに関する国際的な政策調整は今後数年の間に激化すると予想されています。暗号資産(仮想通貨)に関しては、中央銀行はこれらを決済手段としては普及していないニッチな商品と見なし続けています。逆に、消費者に急速に普及する可能性があることから、ステーブルコインの開発は注視されています」と記載した。

編集部のコメント

国際決済銀行の調査では、調査をした新興国の中央銀行8行のうち7行がCBDCの具体的な実証段階に入っているようです。2020年にバハマやカンボジアでCBDCが正式に発行されました。2021年にもいくつかの新興国でCBDCは正式に発行されると考えられます。国際的には、民間のステーブルコイン、ビットコイン、イーサリアムとCBDCを共存させうる規制を生み出せるかが大きなポイントになるのではないかと私は考えています。

コメント:竹田匡宏

(images:iStocks/Pavel_R)

 

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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