日立製作所がブロックチェーン活用の再エネ使用証明システム開発
株式会社日立製作所がブロックチェーンを活用して、再生可能エネルギー由来の電力稼働を見える化するシステムの開発をしたことを1月22日発表した。
また日立製作所はこのシステムを東京都国分寺市にある同社中央研究所において導入し、設備やサービス単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を開始するとのことだ。
今回、日立製作所が開発したシステムはスマートメーターとブロックチェーン技術を活用することで、個々の建物や設備ごとの単位で、再生可能エネルギーがどの程度使用されているかを見える化する。これにより企業全体として再生可能エネルギーのみでの事業運営の早期実現が困難な場合でも、細かい建物や製造ライン単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを見える化でき、企業の環境意識の向上や再生可能エネルギー利用の普及に貢献するとのこと。
将来的にこのシステムを活用することによって、日立製作所は個々の製品・サービスに対して100%再生可能エネルギーで稼働していることを訴求した付加価値の高いサービスを提供できるとのこと。例えばタクシー事業者が化石燃料由来の電力ではなく、再生可能エネルギーで100%充電された電気自動車のタクシー車両に「Powered by Renewable Energy」マークを表示させて乗車サービスを提供するなど、環境価値を訴求したサービスの提供が可能になるという。
日立製作所はこのシステムの活用により、事業者への再生可能エネルギーの導入を支援し企業の脱炭素化促進を目指すとのことだ。
編集部のコメント
近年、地球温暖化を背景に、脱炭素社会の実現に向けて、各国政府ではカーボンニュートラルの宣言や、企業や団体においては、企業が事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする協働イニシアチブRE100など、さまざまな取り組みが実施されています。
その中でブロックチェーンを利用した再生可能エネルギーの管理システムを利用して、企業が再エネを利用する国内企業の事例が多く出てきています。
昨年8月には株式会社リコーがブロックチェーン技術を活用して、再エネの発電から消費までをリアルタイムにトラッキングする電力取引管理システムを開発し、同システムの実証実験を開始したことを発表しています。
また昨年10月には京セラ株式会社とデジタルグリッド株式会社がP2Pによる再生可能エネルギーの電力取引に関する実証実験を2021年1月より京セラ横浜中山事業所にて開始することを発表しています。この実証実験で京セラ横浜中山事業所は消費する電力の全てを太陽光由来の電力で賄うとのことです。
RE100への参画など、大企業が再生可能エネルギーを利用することは社会義務となってきており、今後も益々このような取り組みは増えていくと思われます。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStocks/inkoly)