米アセマネ大手ブラックロックが一部ファンドでビットコイン投資へ
米アセットマネジメント企業ブラックロック(BlackRock)が「一部のファンドはビットコインの先物取引を行うことがある」と1月20日に米証券取引委員会へ提出した書類によって明らかにした。
ブラックロックはビットコインに関して「ビットコインは一般的にビットコイン・プロトコルと呼ばれるビットコイン・ネットワークを支配する規則や手順に従うソフトウェアを公開しているコンピュータを接続するオンラインのピア・ツー・ピア・ネットワークの参加者によって所有権や行動が決定されるデジタル資産」と説明している。
ブラックロックが米証券取引委員会に提出した資料には「各ファンドはデリバティブと呼ばれる金融商品を使用することがあります。デリバティブとは、1つまたは複数の有価証券、商品(金や原油など)、通貨(ビットコインを含む)、金利、信用事象または指数(S&P500指数やプライム・レンディング・レートなどの価値またはレートの指標)からその価値を引き出す金融商品です」と記載されている。
ブラックロックはビットコインの非流動性リスク(Illiquidity Risk)に関して「非流動性リスクとは特定の有価証券や商品が、売り手が希望する時に、または売り手が希望する価格で売却することが困難または不可能になるリスクのことです。ファンドが流通市場やその他の方法で、希望する価格でデリバティブの権利を放棄したり、相殺することができるという保証はありません。
したがってファンドが多額の損失を被ることなく(全くない場合でも)デリバティブのポジションを解消することができない可能性があります。スワップや店頭オプションを含む一部の店頭デリバティブには、かなりの非流動性リスクがあります。非流動性はまたファンドがそのようなデリバティブの市場価値を把握することをより困難にする可能性があります。
したがってファンドは(i)当該商品を購入する契約に、当該商品が解約または売却される可能性のある定価が含まれている場合、または(ii)各営業日に少なくとも2つの独立した入札または申し出を受けることができるとマネージャが予想している場合には、非流動性のOTCデリバティブを取得します。
ビットコイン先物市場が比較的新しい市場であることから、ビットコイン先物は他の先物ほど取引されていないため、ファンドのビットコイン先物への投資には非流動性リスクが伴う可能性があります」と記載している。
また評価リスク(Valuation risk)に関しては「評価リスクはデリバティブの評価源が市場で容易に入手できないリスクです。多くの市場参加者が複雑な商品を購入したり、価格を提示したりすることに消極的になる可能性があるため、特に市場が苦境に立たされている場合には、このリスクが発生する可能性があります。
ビットコインが取引されている取引所(ファンドのビットコイン先物の現金決済額を決定するために使用される価格の源泉となっている)は、技術的・運用上の問題を経験しており、ビットコインの価格が利用できないことがあります。
さらに、ビットコインの現物市場は詐欺や操作の対象となっており、ビットコイン先物契約の価格設定に影響を与える可能性があります」と説明している。
さらに価格変動リスク(Volatility Risk)に関して「価格変動リスクはデリバティブの価値が短期間で大きく変動するリスクです。特にビットコインとビットコイン先物は、一般的により伝統的な資産クラスと比較して大きな価格変動性を示しています。
またビットコイン先物は、上述した市場の不正行為や操作の結果として、著しい価格変動を経験する可能性があります」と説明している。
編集部のコメント
またブラックロックは一部のファンドが投資するビットコイン先物は米商品先物取引委員会(CFTC)に登録された取引所で取引されている現物決済ビットコイン先物のみだと説明してます。
あたらしい経済は「機関投資家がビットコインを視野に入れる理由、グローバルファンドらの動き」の記事で、ブラックロックのビットコインに対するこれまでの動向をまとめています。
ぜひあわせてご覧ください。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStocks/Rawpixel・LongQuattro)