「住⺠票をブロックチェーンで管理、スマホで取得から認証まで」chaintopeが福岡県飯塚市と⾏政⽂書デジタル化社会実験開始
ブロックチェーン開発企業である株式会社chaintopeがGcomホールディングス株式会社と共同で、福岡県飯塚市にてブロックチェーンを活用した⾏政データデジタル化の実証実験開始を発表した。
この取り組みでは住民は住民票をデジタルデータとしてスマホにダウンロードでき、それをそのまま会社や団体に提出し、認証を行うことが実験される。期間は1⽉20⽇から2⽉28⽇までで、飯塚市内の企業、団体が参加して実際の運⽤に近い形で実証試験が⾏われていく予定だ。
具体的には、飯塚市は電⼦交付を希望する住⺠の利⽤申請を受け付け、申請者の⾝分・資格に関する各種証明書を住⺠情報システムを通じてクラウド・サーバー上のシステムに安全に保管する。
利⽤者は⾃⾝のスマートフォンを使って、いつでもどこでも⾃分⾃⾝の証明書をダウンロードでき、⾝分を証明したい企業・団体に提⽰することができるようになる。
そして証明書を提⽰された企業・団体は、インターネット上のトラストサービスを通じて、その証明書が不正に作成されたものでないことを確認できる仕組みだ。
構築されるトラストサービスは、証明書の要約(メッセージ・ダイジェスト)に発⾏者 (=飯塚市)が電⼦署名したデータと交付した⽇時(台帳に記録した⽇時)を保管する仕組み(タイムスタンプ)を基礎として独⾃に設計し、タイムスタンプ情報はChaintopeが開発したブロックチェーンTapyrus(タピルス)によってインターネット上に公開。
実証事業後の運⽤時には複数の⾃治体や事業者によって分散的に安全に管理されるとのこと。
各種証明書を発⾏する際には「1.申請フェーズ」、「2.発⾏フェーズ」、「3.受領フェーズ」の3つのフェーズがあるとのことだ。
発⾏フェーズでは「交付書⾯のテキストデータの埋め込み」と「交付されるデジタルファイルへe-シール処理」が行われる。受領フェーズでは「証明書の真正性の確認」を⾏い、「交付書⾯の確認と合意した⽬的での利⽤」のシミュレーションが⾏われる。
chaintope代表取締役の正田英樹氏へ取材
「あたらしい経済」編集部は今回の実証実験を発表した株式会社chaintope代表取締役の正田英樹氏へ取材した。
−認証局とTapyrusを比較した場合、タイムスタンプの管理は、具体的にどのように違うのでしょうか?
正田英樹(以下:正田):一般財団法人日本データ通信協会が運営するタイムビジネス認定センターがあり、総務省が公表する指針に基づいて、電子文書の存在した日時を証明するサービス事業者の認定を行っています。
このような認定制度は、いわゆる中央集権的なモデルであって、認定事業者が廃業する場合、他社にデータの引き継ぎが行われない限り、永続的にタイムスタンプを検証することはできません。
Tapyrusモデルは、bitcoinで実績のある分散台帳技術によって、タイムスタンプを記録したい参加者(タイムスタンプサービスのクライアント)が存続する限り、持続可能な検証サービスを維持することができます。
−行政のデジタル化は非常に重要なトレンドですが、行政、民間企業、それぞれの立場で大切にしなければならないポイントはなんでしょうか?
正田:デジタル化された文書を、安心・安全に流通できることが、社会の様々なサービスを、業種を超えて、スマートに(自動的に)円滑な手続きを進める、第一歩と考えております。
最も大切なポイントは、そのデータを、いつでもどこでも「正しいもの」と安全に検証できる事であり、そのような検証環境が永続的に持続可能な仕組みで運用され続けることだと考えています。
行政がデジタル文書をブロックチェーンも活用し安全に共有できる仕組みを提供できると、民間サイドで新しいサービスを次々に生み出す事ができる可能性が高まります。
動画「飯塚市ブロックチェーン社会実験の概要」
(images:iStocks/jauhari1・pgraphis)