【chaintope正⽥英樹氏取材】2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に向け、佐賀市とchaintopeとみやまパワーHDがブロックチェーンを利用した実証実験開始
佐賀市、ブロックチェーン開発企業株式会社chaintopeとエネルギー会社支援企業みやまパワーHDが「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現」に向けた検証作業をchaintope社が開発したパブリック・ブロックチェーン「タピルス(Tapyrus)」を利用して行っていくことを1月12日に発表した。
具体的には佐賀市、ブロックチェーン開発企業chaintope、地域エネルギー会社支援企業のみやまパワーHDが、佐賀市における「地域循環共生圏」の一環として、佐賀市内でのエネルギー等の地域内循環を可視化し、ごみ発電電力の地産地消による環境価値を電子証書化するシステムを試作し「地域循環共生圏」具体化可能性の検証作業を共同で行っていく。
これまで佐賀市では脱炭素社会の実現に向けた先駆的な活動に取り組んできたが、その活動によって生まれた環境価値を誰もがその正しさを認めるかたちで公開することが難しいという課題があったようだ。
この課題に対して、chaintopeが開発した独自ブロックチェーン「タピルス(Tapyrus)」を利用し、誰もがその真正性を確認できる電子証書として公開することで、企業間や自治体間での切磋琢磨が促され、政府目標の「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」の後押しが期待できるとのこと。
また環境価値を電子証書化することにより環境価値取引などの新しいビジネスの創造や、将来は地域通貨との連携による地域経済活性化につながることも見込まれる。
この取り組みの第一段階は、佐賀市清掃工場での二酸化炭素排出削減量の見える化・価値化だ。具体的には、佐賀市清掃工場で生み出された再生可能エネルギー発電実績と佐賀市内公共施設での再生可能エネルギー電気供給サービス利用実績を「タピルス(Tapyrus)」に記録し、佐賀市内で確かに電力が地産地消された証明として「資源循環証書」を発行する実証実験を行うとのこと。
あたらしい経済編集部はchaintope代表取締役社長の正⽥英樹氏へ取材をした。
chaintope代表取締役社長の正⽥英樹氏へ取材
―環境価値を可視化することで、企業の財務報告活動や市民の消費活動にどのような変化を与えられると考えられますでしょうか。
まず、現在日本政府も2050年カーボンニュートラルというCO2削減に大きく舵を切りましたが、実際にCO2をどれだけ削減したのか見える化をする仕組みが必要です。
CO2削減量をブロックチェーンを活用して電子証書化する事で間違いのない環境価値の証書として見える化と価値化がされます。
その上でRE100を宣言する企業をはじめとして企業価値に明確な反映ができる形になります。将来的にはJクレジットとも連動し取引もできる形を目指します。
また、市民もCO2削減に取り組んだ結果が見える化する事でより前向きになり行動変容につながると期待しています。
また近い将来は環境価値証書を取引し地域通貨などに交換できる事でCO2削減への行動が経済活動にも関係し、より多くの市民の参画に繋がればと期待しています。
ー環境価値を可視化するインフラとして、パブリックチェーンとコンソーシアムチェーンを比較した場合、パブリックチェーンの優位性をお答えください。
コンソーシアムチェーンですと限られたメンバー内でしか真正性を担保できませんが、パブリックチェーンだと行政や電力会社などだけでなく広く企業や市民を巻き込んでの証明書の真正性が担保しあえます。
環境価値を可視化し、さらに証書として価値化して、多くの企業や市民を巻き込んでのコミュニティをつくり発展させて行くにはパブリックチェーンの活用が適していると考えております。
閉じられたサービスではなく、環境証書を活用した新しいサービスができ、既存のサービスとの連携を図ることも期待しています。
(images:iStock/MrJub・Irina-Shibanova)