GMOがニューヨークで円/米ドル連動のステーブルコイン「GYEN」の発行許可取得、そして世界の各取引所への上場も
ニューヨーク州金融サービス局がGMOインターネットの特別目的会社であるGMO-Z.com Trust Company Incに対し、ニューヨーク州銀行法に基づき、有限責任信託会社として運営することを認可したと12月29日に発表した。
これによりGMOはニューヨークでの日本円および米ドルペッグ安定通貨の発行・管理・換金を行うことができるようになる。米国での日本円ステーブルコインの正式な発行認可は、初めてものとなる。
また日本経済新聞の報道によれば、GMOインターネットが法定通貨を裏付け資産とするステーブルコイン「GYEN(ジーエン)」を2021年1月に欧米など海外取引所で発行する予定とのこと。なお「GYEN」はEthereumのブロックチェーン技術を利用しているとのこと。
また「GYEN」は2021年1月以降に米国、欧州、アジアなど世界6カ所の取引所に上場予定で、GMOはGYENを日本円に戻す際に0.1%程度の手数料を受け取る仕様で、初年度に数百億円分の発行をめざしているとのことだ。
ニューヨーク州金融サービス局のレースウェル(Lacewell)監督官は「ステーブルコインの重要性が高まり、貨幣の未来に新たな方向性を示唆する中、ニューヨークは金融イノベーションの最先端を走り続けています。この憲章の承認は市場の完全性を維持し、消費者を保護するために厳格な規制監視を提供しながら、イノベーションを奨励するという 金融当局(DFS)のコミットメントの証です」とコメントしている。
GMO-Z.com Trust Company Incの代表取締役社長兼CEOである中村健氏は「私たちは多くの人が安全な資産としてみている、初の規制対象となる日本円ペッグ安定コインの発行に向けた動きで、新たな一歩を踏み出しました。また私たちは従来の金融サービスとの関係を一変させるブロックチェーン技術の新しいアプリケーションを構築することを構想しているこの分野のパイオニアであり革新者でもあり続けます」とコメントしている。
編集部のコメント
「GYEN」はビットコインなど含めたデジタル資産への投資に注目する機関投資家らのヘッジの役割を担う通貨になると考えられます。
2021年以降、より機関投資家や企業はビットコイン投資が盛んになれば、「GYEN」の発行は絶好のタイミングではないでしょうか。
暗号資産取引所が機関投資家らや企業の暗号資産投資実行を行う際のオプションとして「GYEN」が役立つのではないでしょうか。
つまり「GYEN」はエクスポージャーリスクを軽減させるものだと考えられます。欧米、アジアで1月以降6つの取引所で取り扱い開始と報じられていますが、どの取引所で取り扱われるのか非常に楽しみです。
なおニューヨーク州の規制は相対的に厳しいと言われています。GMOはそのライセンスを取得できたことは大きなステップであり、これにより他国のライセンスを取得するハードルも下がるのではないかと考えられます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/RRice1981)