スイスのデジタルバンクであるシグナム銀行が自社株のトークン化を発表

スイスのデジタルバンクであるシグナム銀行が自社株のトークン化を発表

スイスのデジタルアセットバンクのシグナム(Sygnum)銀行が、自社株をトークン化したことを12月14日に発表した。シグナム銀行のトークン化プラットフォームであるディシグネイト(Desygnate)を使用して、自社株のトークン化に成功した。シグナム銀行の狙いは、IPOを含む伝統的な資金調達の選択肢に代わる、より包括的な可能性のある選択肢を提供していくこと。

株式のトークン化とは「関連する法的権利と義務とともにトークンが作成され、分散型台帳上で不変的に会計処理されるトークンである」とリリースで説明されている。2021年にスイスで施行される「SWISS DLT law(分散型台帳法)」の内容を考慮して、トークン化されたとのことだ。

シグナム銀行は現在チューリッヒのエコシステムパートナーであるSIX Digital Exchange (SDX/SIXデジタル取引所)とのデュアル上場の可能性や、SDXとSBI Digital Asset Holdingsの間のシンガポールを拠点とするデジタル取引所のパートナーシップなど、スイスとシンガポールのホームマーケットでいくつかの戦略を模索しているようだ。

シグナム銀行の共同創業者でありグループ CEOを務めるマティアス・インバッハ(Mathias Imbach)氏は「世界で初めて株式のトークン化を実現した銀行になることを大変嬉しく思っています。これは所有権と価値へのより直接的かつ効率的なアクセスを実現するというシグナムのミッションを達成するための重要なマイルストーンです。これにはお客様やパートナーとの新たなエンゲージメントモデルが含まれており、最終的には信頼できる株主の皆様に流動性を提供することになります」とコメントしている。

SIXデジタル取引所(SDX)の責任者であるティム・グラント(Tim Grant)氏は「分散型台帳技術の利点を活用した機関投資家向けの将来性のある金融市場インフラを構築する際には、主流の採用を推進するために信頼できるプレーヤーやパイオニアが必要です。私たちはこの取り組みに関してシグナムとパートナーを組むことに興奮しており、将来的にはスイスとシンガポールでのデュアル上場を成功させたいと考えています」とコメントしている。

シグナム銀行の投資家であるヴァニラ・ぺネバ(Velina Peneva)氏は「私は銀行ライセンスを持つテクノロジーグループを構築し、信頼された安全なデジタルアセット経済の基礎を築くというシグナムのビジョンを早くから信じていました。今では新たにトークン化されたシグナム株に他のデジタルアセット投資と一緒にアクセスし、将来的には完全にデジタル化された資金調達にも参加できるようになりました。すべてはシグナムの銀行口座からです。この経験は、私を単なる顧客や株主以上の存在に感じさせてくれます」とコメントしている。

編集部のコメント

リリースで、シグナム銀行は株式のトークン化の利点として、投資家へのマイクロシェア(少額報酬付与)プログラムについて説明しています。シグナム銀行は長期的な株主や顧客に対してマイクロシェアプログラムを通じてトークン化された株式のマイクロシェアを提供することで、投資家のより緊密な関与を促し、新しい投資家や顧客をシグナム銀行に紹介するインセンティブを与えることができると考えているようです。マイクロシェアプログラムが実現すると、ブロックチェーン技術は従来の証券が提供できるものを超えた価値を付加する可能性を示すこととなり、顧客やビジネスパートナーを関与する共同所有者へと変化させるとのことです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/null・Oleksandr-Hruts)

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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