米IBMがeプロヴェナンスとブロックチェーン活用のワイントレーサビリティプラットフォーム「VinAssure」を発表
米IBMがワインの出荷状況をモニタリング・分析する米企業eプロヴェナンス(eProvenance)と共同でブロックチェーンを活用したワインのトレーサビリティプラットフォーム「VinAssure(ビンアシュアー)」を12月10日発表した。
リリースによると「VinAssure」はIBM Blockchain Transparent Supply上に構築され、IBMクラウド上にて動作をするとのこと。
また「VinAssure」では生産者をはじめとした、ワインの卸売商、輸入業者、輸送業者、流通業者、レストラン、小売業者を含む関係者が、ブロックチェーンシステムにより許可された恒久的な共有データの記録を通じて、ワインのサプライチェーンにおけるトレーサビリティ、効率性、収益性の向上することで、IBMとeプロヴェナンスはワインのサプライチェーンを支援するとのことだ。
また「VinAssure」にはノースカロライナ州のワイン輸入業者デ・メゾン・セレクションズ(De MaisonSelections)が既に参加しており、今後は米国第3位のプレミアム・ワイナリーの輸出部門であるサント・ミシェル・ワイン・エステート(Ste.Michelle Wine Estates)と仏ボルドーを拠点に7世代にわたって卸売商とワイン醸造を営むメゾン・シシェル(Maison Sichel)が「VinAssure」への参加を予定しているとのことだ。
IBMはこの3社が「VinAssure」に参加することにより、「世界中のサプライチェーンを通って移動している数百万本のワインのボトル」が追跡できるとしている。
編集部のコメント
ワインのトレーサビリティ管理を行うプラットフォームとして他にもEY(Ernst & Young)とBlockchain Wine社が開発した「TATTOO Wine Platform(タトゥーワインプラットフォーム)」 があります。
「TATTOO Wine Platform」ではフランス、イタリア、スペイン、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、南アメリカ、カルフォルニアの5,000以上の銘柄のワインが取り扱われています。またアジア最大のワインセラーのひとつであるHouse of Rooseveltの支援を受けており、欧州ワインの消費が拡大している中国、日本、韓国、タイ、シンガポールの市場をターゲットにしています。
ワインのトレーサビリティ管理により過去の温度管理や保存状況、流通経路の確認が行うことで品質の管理を行います。また欧米など海外ではワインは株式や債券と同じように投資対象として扱われていることから、こうしたトレーサビリティシステムによる真贋証明やワインの管理情報といった透明性が求められている一面もあります。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/IgorShishov)