【日本円も対応】シンガポールDBS銀行がデジタル証券取引所の設立発表
シンガポール大手銀行DBS銀行がデジタル証券取引所を設立したことを12月11日に発表した。DBS銀行が90%、シンガポール取引所が10%ずつ出資をしてデジタル証券取引所は設立された。またシンガポール通貨庁がDBSデジタル証券取引所を公認市場運営者として承認したことによって、DBS銀行は正式な発表を行うことができた。公認市場運営者の承認を受けたことで、DBSデジタル証券取引所は株式、債券、プライベート・エクイティ・ファンドなどの資産を対象とした組織的な市場を運営することが可能となる。
また機関投資家および適格投資家はDBSのデジタル証券取引所を通して、デジタル資産のトークン化、取引、カストディのエコシステムを利用できるようになる。
DBSデジタル証券取引所では、DBSはブロックチェーン技術を活用して、資産のトークン化や暗号資産を含むデジタル資産のセカンダリー取引を通じて資金調達のためのエコシステムを提供していく。そのエコシステムには「セキュリティ・トークン・オファリング 、デジタル通貨取引所、デジタル資産カストディサービス」の3つの柱がある。デジタル通貨取引所では、4つの不換通貨(SGD、USD、HKD、JPY)と、ビットコイン、イーサ、ビットコインキャッシュ、XRPの4つの最も確立された暗号資産間の交換サービスを提供する。
DBSのグループCEOであるピユッシュ・グプタ(Piyush Gupta)氏は「資産のデジタル化の急激なペースは、資本市場のあり方を大きく変える機会を提供しています。シンガポールがグローバルな金融ハブとしての競争力をさらに高めるためには、デジタル資産と通貨取引の主流導入を歓迎する準備をしなければなりません。DBSはこれを促進するために、完全に統合されたエコシステムの開発を加速することを約束します。これは多くの点で差別化された、この種の統合された提供の第一号であると確信しています」と述べている。
編集部のコメント
DBSデジタル証券取引所はセキュリティー・トークン・オファリング、デジタル資産取引所、デジタル資産カストディエコシステムをリリースで次のように定義、説明しています。
「セキュリティー・トークン・オファリングは非上場企業の株式、債券、プライベート・エクイティ・ファンドなどの金融資産を裏付けとしたデジタル・トークンの発行と取引のための規制されたプラットフォーム。
デジタル資産取引所は不換通貨から暗号資産へのスポット交換を容易にする取引所。
デジタルカストディサービスは規制基準の下、デジタル資産に合わせた安全なカストディサービスに対する需要の高まりに対応するため、機関投資家レベルのデジタルカストディソリューションを提供します。DBSのデジタルカストディサービスは、従来の資産に対する世界レベルのカストディサービスを提供してきた経験を活かし、お客様に代わってデジタル資産を管理する暗号鍵のカストディを提供します」
DBS銀行のデジタル証券取引所のポイントは、機関投資家が1つの取引所でデジタル証券と暗号資産の両方で資産運用できる点だと思います。今後も主要な金融機関はデジタル証券と暗号資産のハイブリット運用ができる取引所を生み出していくのではないでしょうか。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/Nattapon-Kongbunmee・Victorburnside)