(バセット創業者兼CEOの竹井悠人氏のコメント追記)日本のRegTech企業バセット(Basset )が分散型金融領域のリスク評価サービスをスタート

日本のRegTech企業バセット(Basset )が分散型金融領域のリスク評価サービスをスタート

金融データ分析アルゴリズムを提供するRegTech(規制:Regulationと技術:Technologyを合わせた造語)企業のバセット(Basset)が 分散型金融(DeFi)領域へのリスク評価サービスを開始し、イーサリアム上で稼働するスマートコントラクトに対するリスク分析のためのオラクルを提供することを11月30日に発表した。

まずバセットは分散金融アプリケーションが急増している現状を考慮して、ブロックチェーンサービス開発者に対してリスク情報の提供を行うAPIを提供していくとのことだ。

バセットが提供するAPIを通じて、サービス利用者は「(1)取引所へのサイバー攻撃から不当に得られた資金や犯罪収益に関連するものでないかといった観点から、利用者の資産の透明性を評価する AML/CFT (資金洗浄およびテロ資金供与への対策) リスク、(2)利用者の過去の取引行動から、ローンがデフォルトする可能性を示唆するようなパターンを判別することで得られる、暗号資産(仮想通貨)融資の際の信用リスク」の2パターンのリスク分析を行うことができるようになる。

またバセットは分散型金融サービスの開発者がコスト観点からデータ分析サービスをより利用しやすくなるように価格体系にも随時改善を加えていくようだ。具体的にはバセットはトランザクション毎に支払いをする方式を採用し、分散型アプリケーションの構築を行うスタートアップ企業や個人開発者にとって利用しやすい環境の整備を目指していくとのことだ。

バセットCOOのアヤ・ウォルラーベン(Aya Walraven)氏は「ブロックチェーン技術をフルに活用する分散システムの世界で、新たな金融商品やサービスが多く生み出されている中、当社はコンプライアンス領域を目的としたものはもちろん、それらに限らない多岐にわたる即時的に役立つ情報を提供することで、分散型金融分野の成長をサポートしていきたいと考えています」とコメントしている。

追記:12月2日18時15分

あたらしい経済編集部はバセット創業者兼CEOの竹井悠人氏へ取材を行った。

バセット創業者兼CEOの竹井悠人氏へ取材

ーバセットが分散型金融領域のリスク分析を行えるようにすることで、今後、企業らは具体的にどのようなビジネスを作れるようになるとお考えでしょうか。
 
端的に申しますと、スタートアップを始めとする企業が、DeFi領域で使われる流動性の高い暗号資産を活用した金融・情報・物販等のサービスに参入しやすくなると考えております。

その背景としては、現在、多くの企業がDeFi 領域での金融商品やサービスの開発に注目しているところですが、それには次のようなDeFi のメリットがあるからだと分析しております。

1.金融商品が新たに登場し続けている新興市場であり、先行者利益を得るための競争にまだ間に合うこと

2.DeFi で得た収益の、イールド ハーベスティングなどを通した再投資が容易にできること

3.既存の決済代行業者などを通すようなクレジット カード等の決済手段と比較して、暗号資産の決済ではトランザクション手数料等のみに限定され、中間的存在がないこと。

一方、法的な観点では、DeFi を提供する日本企業にあっては、資金決済法 (主に交換業・資金移動業・前払式支払手段の発行などに該当するところ) を始めとする諸規制に準拠する必要があります。

これらは現在まで、日本円等の法定通貨で行う事業に適用されてきた事例が注目されがちですが、今後、暗号資産によるサービスが増加すれば金融庁はさらに対応を強化していくものと考えられます。

ゆえに、DeFi 上でこれらの金融サービスを直接提供することを目指す場合、企業は適切なリスク管理が不可欠です。そのためのリスク管理に含まれるのは、顧客保護の視点、AML/CFTの観点、システムリスク管理、金融リスク管理 (たとえば流動性確保や市場変動の際のスリッページ対応) など、幅広いコンプライアンス要件です。

そこで、私どものサービスが以下のような観点から補助を行うことで、前述のコンプライアンス要件の達成に貢献できるのではないかと考えております。

1.AML/CFT (資金洗浄およびテロ資金供与への対策)。端的には、犯罪収益をそうとは気付かず受け取ってしまわないようにするための対策。

2.支払いに利用される暗号資産が、いわゆる草コインと呼ばれるような、価値が危殆化する恐れのある資産ではないかの判断。

3.利用者に関する属性の判断。

また、前述のような金融サービスが発達していけば、それを支えるための情報ビジネス (KYC や消費行動の記録など) がオフチェーンだけでなくブロックチェーン上でも必然的に発達することとなるほか、DeFiで決済された取引のデリバリのために実世界における物販などとの接点が増えていくこととなります。

これらの発達を後押しするためにも、前述のようなリスク管理が容易になることは不可欠だと考えております。

総括しますと、私どものサービスが、DeFi 上で決済を行う金融・情報・物販等のサービスの醸成を補助することを狙いとしております。

(images:iStock/Who_I_am)

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