UCC COFFEE UKがファーマ・コネクトが提供するトレーサビリティシステムを導入

UCC COFFEE UKがファーマ・コネクトが提供するトレーサビリティシステムを導入

UCCホールディングス株式会社のヨーロッパ関連会社UCC Coffee UK LTDがコーヒーのトレーサビリティープラットフォームである「ファーマー・コネクト(farmer connect)」と提携し、オラウータンコーヒー(Orang Utan Coffee)のためのブロックチェーントレーサビリティーソリューション「サンク・マイ・ファーマー(Thank My Farmer)」を開始したことを11月25日に発表した。「Thank My Farmer」はIBM Blockchainを利用している。

「サンク・マイ・ファーマー」は「ファーマー・コネクト」の機能を拡充して、消費者とオラウータンコーヒーを栽培している農家を直接結びつけることで、消費者の信頼を高めている。消費者はパックに入っているQRコードを携帯電話でスキャンするだけで、お気に入りの一杯のコーヒーがインドネシアで生産されていることやコーヒー生産者のコミュニティを支援するために実施されているプロジェクトについての詳細を知ることができる。

また「サンク・マイ・ファーマー」では、消費者はソーシャルメディア上で共有可能なコンテンツを使ってコーヒー生産者の支援者となり、クレジットカード、Google Pay、Apple Payを使って寄付を行うことができ、スマトラオラウータン保護プログラムを支援する機会を得られる。

はじめはオラウータンコーヒーの消費者向け製品(200g)のみを対象とするようだ。今後500gの豆を含めより幅広いフードサービスラインへの展開をしていく予定とのこと。

UCC Coffee UKのシニアグリーンコーヒーバイヤーであり、ブロックチェーンプロジェクトのリーダーでもあるミゲル・レグエラ(Miguel Reguera)氏は「ブロックチェーンでトレーサブルなオラウータンコーヒーをファーマーコネクトで発売することは、英国のUCC Coffeeにとってだけでなく、UCCにとっても世界的に初めてのことです。またUCCは英国でファーマーコネクトを利用した史上初のコーヒー会社でもあります。スマトラ島のオラウータン・レスタリ、ドイツのオラウータン・レーゲンヴァルト、スイスのファーマー・コネクト、英国とスイスのUCCコーヒーチームが協力して、作物からカップまでのサプライチェーンのすべての要素を統合しました。そして、コーヒー業界が一丸となって取り組めば、さらなる変化が起こると確信しています。

世界のコーヒーサプライチェーンは複雑で、多くの人はコーヒーが最終的に淹れるまでにどのような段階を経ているかを知らないのです。ファーマーコネクトの製品を使用することで、UCCはこの複雑さを単純化し、スマトラの高地からイギリスの大手スーパーマーケットであるウェイトローズ(waitrose)やオンラインスーパーオカド(Ocado)に届くまでのオラウータンコーヒーの旅の各段階でアップロードされた、アクセス可能でわかりやすく検証されたデータを提供しています。またサンク・マイ・ファーマーを通じて、コーヒーの背景にあるストーリーに命を吹き込むこともできるようになりました。消費者は自分のコーヒーがどこで栽培され、焙煎され、輸出されているのかをダイナミックなトレーサビリティマップで確認することができ、サプライチェーンの両端での交流を促進することで、生計を立て直し、絶滅の危機に瀕しているスマトラオラウータンを保護することができます。

ブロックチェーンによるオラウータンコーヒーの発売は、ウェイトローズとオカドの買い物客がコーヒーとその供給元をデジタルで結びつけ、透明性を高めることができるようになる初めての事例です」とコメントしている。

ファーマーコネクトのCEOであるマイケル・クリスメント(Michael Chrisment)氏は「UCCとのパートナーシップとサンク・マイ・ファーマーでのオラウータンコーヒーの発売は、消費者が買い物のパターンに目的志向を持ち、自分の価値観に沿った商品を購入したいと考えるようになってきている時期に当たります。

IBMの調査によると、持続可能性を非常に重要視する消費者の71%が、持続可能で環境に配慮したブランドにプレミアムを支払うことを望んでいることがわかりました。しかし消費者はまた、より多くの情報へのアクセスや飲むコーヒーのサプライチェーンの最初の段階でポジティブな変化の一端を感じたいとも考えています。彼らは自分たちの購入決定が、人々やプロジェクト、環境に実際に影響を与えることを知りたいと思っています。

サンク・マイ・ファーマーは、このようなトータルな影響力を高めるのに役立ちます。サプライチェーンからの1ポンドと消費者からの1ポンドが一致すれば、私たちは現場での真の変化を促すための努力を2倍にしたことになります」とコメントしている。

IBMの流通・産業市場におけるブロックチェーンのグローバルリーダーであるポール・チャン(Paul Chang)氏は「コーヒーのような膨大なグローバルサプライチェーンでは、消費者は自分の製品がどこから来ているのか、生産者が生活賃金を得ているのかを知ることが難しくなります。

コーヒーの産地を簡単にトレースできるようになることで、世界中の消費者やブランドがコーヒーの産地をサポートできるようになります」とコメントしている。

編集部のコメント

オラウータンコーヒーは、急速に減少しているスマトラオラウータンの熱帯雨林の生息地を救うことを使命としているプロジェクトです。UCC Coffee UKのリリースによれば、オラウータンコーヒーによってこれまでに200頭以上のオラウータンを回復させるという結果が出ているとのことです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/robtek・SB)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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