米セキュリタイズがデジタル証券の発行から流通までサービス提供可能へ
米デジタル証券会社セキュリタイズ(Securitize)が米証券取引委員会(SEC)認可の代替取引システム(ATS)を持ち、米金融取引業規制機構(FINRA)登録のブローカー・ディーラーであるディストリビューテッド・テクノロジー・マーケッツ(Distributed Technology Markets/DTM)の買収について米規制当局の承認を取得したことを11月25日に発表した。これによりディストリビューテッド・テクノロジー・マーケッツはセキュリタイズ・マーケッツ(Securitize Markets)に改称され、セキュリタイズはデジタル証券発行から流通市場までのデジタル化をカバーすることが可能になる。
セキュリタイズマーケッツでは、適格投資家や機関投資家がデジタル証券の上場を通じて私募資本市場にアクセスできるようになる。取り扱われるアセットは私募証券がデジタル化されたデジタル証券であり、ブロックチェーン技術を用いて発行・追跡・管理される。
セキュリタイズのCEO兼共同創業者カルロス・ドミンゴ氏は「私募市場は現代の世界経済の巨大な割合を占めていますが、発行や取引をより効率的で透明性が高く、アクセス性を高くするテクノロジーの活用に関しては大きく遅れをとっています。Securitize Marketsを当社の既存のデジタルトランスファーエージェント・プラットフォームに統合することにより、発行体や投資家にシームレスなデジタルソリューションを提供できるようになります。これにより、現在のデジタル化が不完全なプロセスと比較して、顧客体験を大幅に向上させることができるでしょう」とコメントしている。
セキュリタイズマーケッツのCEOに就任したクリス・ウィッテンボーン(Chris Wittenborn)氏は「セキュリタイズマーケッツはデジタル証券を含む私募証券向けに規制に準拠した資本市場の枠組みを構築する取り組みを規制当局と密接に協力しながら続けています。この市場を発展させるために、セキュリタイズと手を組むことができ嬉しく思います」とコメントしている。
追記:11月27日18時30分
あたらしい経済編集部はセキュリタイズのカントリーヘッドジャパンの小林英至氏へ取材をした。
セキュリタイズのカントリーヘッドジャパンの小林英至氏へ取材
ー米セキュリタイズがデジタル証券発行から流通市場までのデジタル化をカバーすることが可能になることで、日本市場へはどのような影響があるのでしょうか。
現時点では未定だが、Securitizeの新たな、業界有数のビジネスモデルにより、とりわけ金融機関顧客との新たな協業、サービス・商品提供を日本向けにも探っていきたいと考えている。
編集部のコメント
セキュリタイズのプレスリリースによれば、セキュリタイズはこれまで150社以上の顧客と契約しており、セキュリタイズのデジタル証券の発行・ライフサイクル管理プラットフォームは5万人以上の投資家に利用されているようです。
また国際取引所連合によれば、2019年の私募市場(2.9兆ドル)は公開市場(1.4兆ドル)の2倍以上を調達しましたが、適格投資家のわずか2.5%しか参加していなかったとのことです。今後、私募市場はブロックチェーン技術の発展に伴い、大きくなっていくのではないでしょうか。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/LuckyStep48・KrulUA)