岩手銀行がIBM Blockchain Platformを利用して電子契約実証実験を開始
株式会社岩手銀行がブロックチェーンを活用して、マイナンバーカードとスマートフォンによる電子契約の実証実験を開始したことを11月13日発表した。
この実証実験には株式会社フィッティングハブ(FTH)、日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)、日本電気株式会社(NEC)が提供する電子契約実証実験環境において行われる。スキーム全体の管理をFTHが行い、電子契約には日本IBMが提供するブロックチェーン技術「IBM Blockchain Platform」とNECが提供するマイナンバーカード認証サービスを利用するとのことだ。
岩手銀行は昨今急速に高まるペーパーレス、押印レス、非対面ビジネスへの社会的ニーズに対応するため、政府が普及促進を進めているマイナンバーカードを活用し、幅広いお客さまに簡単で確実な電子契約環境を提供することを目指している。今回の実証実験においては法人契約をマイナンバーカードとスマートフォンで実現し、ICカードや電子証明書の管理を不要とする独自のスキームを提唱し、他行、他社、関係機関への参加を広く呼びかけ、検証を進めていく予定とのこと。
なお岩手銀行は電子交付サービスについて既にブロックチェーン技術を活用しており、今回の実証実験では電子書類の署名付与にマイナンバーカードを利用する方式を検証するとのこと。
この実証実験は11月からシステム環境を構築し、2021年4月から9月までの期間にて岩手銀行が提唱する新たなスキームの有効性について検証を実施するとのこと。
なお実証実験の対象となる契約は「事業性融資における金銭消費貸借契約証書」、「個人ローンにおける金銭消費貸借契約証書」、「法人、個人間(お客さま間)の双務契約」となっている。
この実証実験の検証項目として、マイナンバーカードを利用して電子契約を行うスキームに関する法的課題解決に向けたシステム要件の検証と、非対面、スマホ完結を前提としたペーパーレス融資スキームの実現可能性の検証、地域のデジタルシフトの観点から、法人と法人、法人と個人の双務契約(賃貸借契約、請負契約等)についての実現可能性の検証が挙げられている。
編集部のコメント
IBMの発表したリリースによると、今回採用された「IBM Blockchain Platform」 は企業向けブロックチェーン基盤である「Hyperledger Fabric」をベースに開発されており、企業向けのブロックチェーンとして高い安全性や信頼性を必要とする社会インフラの基盤として適したソリューションであるとのことです。
また「IBM Blockchain Platform」 はマルチクラウドに対応しているため、参加企業のさまざまなインフラに対応ができるとのことです。さらに「IBM Blockchain Platform」 はIBMのパブリック・クラウドであるIBM Cloud上で稼働し、柔軟かつ迅速にシステム環境を構築できるとのことです。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/VectorHot)