Gaudiy(ガウディ)とMantra(マントラ)がブロックチェーンを活用したマンガAI翻訳システムを共同開発
株式会社Gaudiy(ガウディ)とMantra(マントラ)株式会社が業務提携を実施したことを11月12日発表した。両社はこの提携によりAIとブロックチェーンを活用することでマンガの多言語翻訳と海外販売を低コストかつ高速に実現するサービスの共同開発を開始するとのことだ。
ガウディは音楽、マンガ、アニメ、ゲームなどエンタメ業界のDXを推進するブロックチェーン企業。同社ではIP独自のコミュニティを簡単に提供できる事業を展開しており、コミュニティには多くの海外ユーザーも参加しているとのこと。
マントラはマンガに特化した機械翻訳技術の研究開発や、出版社およびマンガの制作・配信事業者が対象のマンガの高速な多言語展開を可能にする法人向けクラウドサービス「Mantra Engine(マントラエニグマ)」の提供を行うスタートアップである。
今回両社が行うこのプロジェクトはトークンエコノミー(コミュニティ)とマンガAI翻訳技術を通して、マンガの即時性の高い多言語翻訳と海外販売までを一貫して実現することを目指しているとのこと。この取り組みにより、どんな作品でも即時性の高い多言語翻訳と海外販売が簡単に実現できる仕組みを構築し、日本のIPビジネスのさらなるグローバル成長を後押しするとのこと。
マンガの翻訳は固有名詞の多さや作品特有の言い回しなど、通常の翻訳とは違った難しさがあり、現状マントラが提供する「Mantra Engine」の翻訳精度は30~70%程度で人力での修正が欠かせないとのこと。そこでガウディが提供するコミュニティを通して、マンガファンである海外のユーザーが様々な形で翻訳結果の修正に参加・協力できる仕組みを作るとのことだ。またこれにより「Mantra Engine」の精度も向上するとのこと。
さらに翻訳に貢献したユーザーには翻訳されたマンガの販売収益の一部を貢献度に応じて分配するなど、トークンエコノミーを活用した適正な価値還元を実現し、翻訳に協力した海外ファンが販売にも積極的に参加・貢献してくれるエコシステムを構築するとのこと。
またユーザーによる貢献行動は、ブロックチェーン上で構築された分散型アイデンティティである「Gaudiy-DID-System」で提供される個人の貢献スコアにも反映されるとのこと。これによりIPが提供する他サービスにおいてもスコアに応じた異なる体験が提供できる世界観の実現を目指すとのことだ。
両社は以上の仕組みにより、企業がマンガの多言語翻訳と海外販売を低コストで実現し、海外にて出回る海賊版の翻訳マンガにより毀損されていた日本のIPビジネスを海外で更に市場成長させていくとのことだ。
編集部のコメント
株式会社Gaudiy(ガウディ)の直近のブロックチェーンに関する動きとして、先月10月に週刊少年ジャンプで連載されていた人気漫画『約束のネバーランド』のブロックチェーンを活用したコミュニティサービスを提供開始したことを発表しています。
またガウディは「Gaudiy-DID System」を活用することで、関連サービス全体の継続的な連携を支援し、これまでのアニメ、ゲーム、マンガなど単体でのサービス提供から、IPコンテンツを中心とした横断的な顧客体験の提供を目指すと発表をしています。
ブロックチェーンをはじめとしたテクノロージーを漫画に利用することで、日本が誇るマンガの文化がより発展をしていくのを期待します。
なお翻訳×アニメとして、株式会社イード、Tokyo Otaku Mode Inc.、株式会社 bitFlyer Blockchain、オタクコイン協会は、共同でブロックチェーンを活用したアニメニュース翻訳プラットフォーム「Tokyo Honyaku Quest」を提供しています。
「Tokyo Honyaku Quest」では世界中のアニメファンが翻訳家となってアニメニュース記事の翻訳を行うことができ、翻訳された記事は正式な翻訳版として翻訳者のIDと共にブロックチェーン上に記録されます。
翻訳者および翻訳の協力者には対価として独自トークン「HON」が付与され、今後はオタクコイン協会が発行するコミュニティ通貨「オタクコイン」との交換性を持つ予定です。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/antoniokhr)