今から「ビットコインを買う」人に知っておいて欲しいこと〜暗号資産(仮想通貨)メディア編集長から初心者の皆さんへ

本日2020年11月6日、ビットコインの価格が160万円/1BTCを超えて、2017年末のバブル期と言われる時期の最高値に近づいてきています。このまま価格上昇が続けば、多くのメディアや皆さんの周りでもビットコインや暗号資産(仮想通貨)の話題が増えることになると思います。

そこで今までビットコインやその他の暗号資産(仮想通貨)取引をしたことがない方向けに、取引をはじめる前にまず知ってもらい事をまとめました。ぜひお取引前に読んでいただければと思います。

まずどうやってビットコインを買うの?

国内暗号資産(仮想通貨)取引所でビットコインは日本円で買えます。なお取引所運営には金融庁のライセンスが必要です。必ず以下の金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」を確認して登録のある会社の運営取引所を選びましょう。

→金融庁 暗号資産交換業者登録一覧(令和2年9月23日現在)

暗号資産取引所の選び方

暗号資産取引に関して私もよく聞かれる質問が「どの取引所がいいの?」というものです。

暗号資産取引所によって様々な手数料や販売所のスプレッド(これも手数料みたいなもの)が違います。これらを比較して選ぶのが、まず一つのポイントです。

またビットコインは非中央集権型資産ですが、それを扱う取引所は法人運営の中央集権のサービスです。ビットコインがこの世に生まれてから10年以上経った今でもビットコインの仕組みは一度もハッキングされていませんが、それを取り扱う企業のシステムは残念ながら過去に何度もハッキング被害を受けています。ですので万が一の際に補償などか可能そうな会社が運営しているか、その会社の規模や業績も、取引所選びの重要なポイントです。

またハッキングなどのリスクを回避するために、取引所で買った暗号資産を自分が秘密鍵を管理する暗号資産ウォレットで管理するという安全対策もあります。これについてはまた別の機会で詳しく解説します。

そして取引所によって取り扱うコインや取引のUIが違います。これについてはいくつか使ってみて自分で判断するのが大切です。なお取引所利用にはKYC(個人情報等)登録が必要で一定の時間がかかります。先々取引をしたいと思うタイミングですぐに動けるように、思い立った機会にまとめていくつか登録しておくと良いでしょう。

ネットのおすすめはあまり信用しないで!

なお面倒で「仮想通貨取引所 おすすめ」などで検索して比較サイトや比較記事のおすすめ度やコメントを鵜呑みにしがちですが、それらはアフィリエイト目的で作られたものが多いのでお勧めできません。自分で公式情報を読んで判断するのがいいと思います。

また暗号資産取引を試みようとしていると、海外拠点の暗号資産取引所という選択肢も生まれてきます。インターネット上でもそれを促す記事やSNSなどの投稿もあります。個人として海外の取引所を利用すること自体は違法ではありませんが、海外の取引所は金融庁の管轄外であり、何かトラブルにあっても日本の法律が適応されないこともあります。

また金融庁は海外の暗号資産所に対して、日本でのプロモーションや顧客獲得を原則認めていません。そのためには日本のライセンスを取得することを海外事業者に求めています。過去に金融庁が警告をして、今まで使えていた海外取引所が日本で突然使えなくなる(サービスが停止される)ことも過去にはありました。

そういった様々なリスクがありますので、海外の取引所を利用は上級者向きです。これから始める方はまずは日本国内の暗号資産取引所の利用からはじめることをお勧めします。

販売所と取引所の違いなど、初心者が見落としがちなポイント

さて、使う取引所が決まりKYCの登録も完了すれば、早速トレードができるわけですが、その前に一つ初心者が誤解しそうなポイントを紹介します。日本の多くの暗号資産取引所には、1つの取引所で販売所と取引所の2つの機能があります。販売所はスプレッドがかかり、今(2020年11月6日)だと販売所の方が1BTCあたり数万円以上高かったりしますので、その点を確認して理解してから使いましょう。

例えば現在だとビットコインの価格が上昇していて、どの取引所でも流動性がありますので、販売所機能で買わずとも妥当な値段を提示すれば、取引所機能でビットコインの売買が可能だと思います。しかし何故かこの辺りがUIとして分かりづらいことも多く、知らずに販売所で高く買ってしまっている人も多いので、要チェックです。

また取引所によって差はありますが、PCとアプリでは出来ることが違うことがあります。基本的にはPCの方が全ての機能を提供している場合が多く、アプリは使いやすいですが、まずはPCで何ができるか、どんな情報が見られるのか確認しましょう。

現物・証拠金・先物など取引の種類、初心者は現物取引から

なお暗号資産取引所でできる暗号資産取引にもいくつか種類があります。

現物取引は自分の資金の範囲内で暗号資産を売買する取引です。「自分の100万円で、その分のビットコインを買う」または「持っているビットコインを売る」というもの。リスクが自己資産の範囲に留まるので、初心者向けの取引ですのでまずここからやってみましょう。

現物取引以外に証拠金取引というものがあります。証拠金を担保にしレバレッジをかけて取引ができる仕組みです。100万円でレバレッジを2倍かけると200万円分の取引ができます。また現物とは違い売りから入れるのも特徴です。ただリスク/リターンがレバレッジをかけ多分大きくなり、値段が大きく下がれば自己資金を上回る赤字になってしまうこともあります。中級者以上向きの取引手法です。

さらに証拠金取引に加え、先物取引もあります。先物取引は将来のある時点での売買について現時点で事前に約束をする取引のことです。これもレバレッジかけられて売りからも入れます。証拠金取引との違いは取引期限や金利なと。これも中級者以上向きの取引でじっくり勉強して試してください。

なお暗号資産には株のようにストップ高/ストップ安がありません。また市場も24時間365日動きます。価格が1日で半分になることも倍になることもあります。リスク/リターンの大きい資産です。それにレバレッジをかけるとよりハイリスク入りターンになります。ですので大前提として、暗号資産取引は余裕のある資産でまずは初めることをお勧めします。

ビットコインで得た利益にも税金はかかります

また暗号資産の売買によって得た利益には雑所得として税金がかかります。具体的には暗号資産を日本円に変えた時、他の暗号資産と交換した時、暗号資産で買い物した時などなど。課税対象の収益が上がれば、確定申告が必要になります。詳しくは暗号資産専門の税務サポートを提供している株式会社Aerial Partners(エアリアル・パートナーズ)さんのサイトの記事で分かりやすく解説されてますので、ご確認ください。

→【2020年対応】仮想通貨(暗号資産)の税金の基本|税理士がわかりやすく解説!(株式会社Aerial Partners)

暗号資産詐欺に注意

暗号資産と詐欺ビットコインの値段が上がるとどうしても詐欺が増えます。確実に儲かると謳う情報やノウハウやコミュニティ参加を売る詐欺、ライセンスの無い販売者による詐欺などなど。上手い儲け話には気をつけましょう。

高い年利、買ったり売ったりしてくれる代理店販売、SNSでの勧誘、まずはコミュニティに誘導、不労所得を謳う、簡単さを謳う、ビジネスや経済の勉強になるとかいう、そしてその人たちお金持ってそうなファッション、な人たちに注意です。

また全てが詐欺というわけではないですが、特に「海外で話題、海外メディアで紹介実績強調、アービトラージ、AI、自動売買、マイニング、エアドロップ、紹介料あり」などのキーワードが多い話をしてくる人やプロジェクトも詐欺かもしれないと疑った方がいいかもしれません。

ちゃんと勉強して、余裕のある範囲の資金で、暗号資産取引をはじめよう

これまでこの記事で紹介したように、ビットコインやその他の暗号資産取引には、今までの金融商品になかった特徴、そして取引に関するリスクもあります。正直、暗号資産取引で儲けるのは、簡単ではないです。また継続した学習と情報収集も必要です。

投資には必ずリスクがあります。だからこそ初心者の方は、ご自身の余裕のある範囲の資金からはじめてください。個人的には、割高な飲み屋さんで何度か飲み過ぎてしまって使ってしまうぐらい、全て無くなってもとりあえずそれほど痛くない(自分の仕事や生活に大きく影響しない)程度の金額からはじめるのがいいのではと思ってます。

そして暗号資産、ブロックチェーンに特化した「あたらしい経済」というメディアを運営してきた私としても、これを機に暗号資産を持って、その新たなアセットとしての魅力、そしてそれを動かすブロックチェーンという仕組みの可能性を多くの人に感じて欲しいと願っています。

今後の情報収集に、そしてブロックチェーンの学習に今後も「あたらしい経済」を使っていただけると嬉しいです。今後このような初心者向けコンテンツも増やしていきますので、引き続きよろしくお願いします。

あたらしい経済
https://www.neweconomy.jp/

 

(images:iStock/metamorworks)

この記事の著者・インタビューイ

設楽悠介

「あたらしい経済」編集長/幻冬舎コンテンツビジネス局局長
幻冬舎でブロックチェーン/暗号資産専門メディア「あたらしい経済」を創刊。同社コンテンツビジネス局で電子書籍事業や新規事業を担当。幻冬舎コミックスの取締役兼務。「Fukuoka Blockchain Alliance」ボードメンバー。福岡県飯塚市新産業創出産学官連携協議会委員。ポッドキャスターとして、Amazon Audible original番組「みんなのメンタールーム」や、SpotifyやAppleにてweb3専門番組「EXODUS」や「あたらしい経済ニュース、ビジネス系番組「二番経営」等を配信中。著書『畳み人という選択』(プレジデント社)。

「あたらしい経済」編集長/幻冬舎コンテンツビジネス局局長
幻冬舎でブロックチェーン/暗号資産専門メディア「あたらしい経済」を創刊。同社コンテンツビジネス局で電子書籍事業や新規事業を担当。幻冬舎コミックスの取締役兼務。「Fukuoka Blockchain Alliance」ボードメンバー。福岡県飯塚市新産業創出産学官連携協議会委員。ポッドキャスターとして、Amazon Audible original番組「みんなのメンタールーム」や、SpotifyやAppleにてweb3専門番組「EXODUS」や「あたらしい経済ニュース、ビジネス系番組「二番経営」等を配信中。著書『畳み人という選択』(プレジデント社)。

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