ブロックチェーン企業LayerXが電子投票の実現ならびに普及に向けつくばスマートシティ協議会に加入
ブロックチェーン企業LayerXが、つくばスマートシティ協議会に加入したことを11月5日に発表した。
LayerXの研究開発組織であるLayerX Labsでは、ブロックチェーンなどを活用した独自技術を用いて秘匿化・匿名化技術の研究開発を推進しており、このことから、つくばスマートシティ協議会に加入することになったとのこと。
茨城県つくば市は「スマートシティ」の実現を目指し、産学官金が連携して事業を推進していくためスマートシティ協議会を設置し、全国の地方自治体の中でもいち早くデジタル化をはじめとした新しい取り組みを推進している。つくば市は行政サービス、交通、医療・介護、インフラといった地域が抱える幅広い分野の課題を、ICT等の先端技術やデータを活用することで解決することを志向しており、その中でも行政サービス分野は電子投票に関する実証実験を過去3回実施するなど主要テーマとなっているとのことだ。
つくば市は「つくばスマートシティ協議会への株式会社LayerXのご参画を歓迎いたします。この協議会は、筑波研究学園都市の都市基盤と科学技術イノベーションに対する市民の高い理解をSociety5.0の実装フィールドとし、つくば地域の課題解決と都市機能の向上に資するため、デジタル・ロボティクス等最先端技術とこれに呼応する施策を連携させて形成する「つくばスマートシティ」の実現を目指しています。ブロックチェーン技術で先頭を走るLayerX社の加盟により、協議会の取組が加速されるものと期待しています」とコメントしている。
追記:11/5 14:45
あたらしい経済編集部はLayerX Labs所長の中村龍矢氏に取材を行った。
ー行政が電子投票を運用可能になると、行政や有権者は具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
行政や有権者に具体的に影響があることとしては、
• インターネットによって、例えば足腰の弱い人や寝たきりの人でも、遠隔で投票ができる。
• 若年層の投票率が上がる可能性が高い。
• (行政側は)マニュアル操作が減ることで、楽に正確な実行が可能になる。まさにDX など、が挙げられます。
また、投票と言っても首長や議員を選ぶもののみならず、スマートシティの文脈で、行政が検討している施策に関して市民に意見を問うことを効率的に行う方法にもなります。
つくば市で行われた昨年の実証実験はこれに近く、IT活用政策コンテストの最終審査で電子投票を実施しています。
編集部のコメント
平成28年の総務省の電子投票に関する資料によれば、電子投票で選挙を実施した自治体は総じて開票時間が短くなっていることが明らかです。電子投票が実現することで、大きく分けると選挙プロセスの簡素化、公正な選挙運営の2つを推進していくでしょう。
ブロックチェーン技術を用いた電子投票は2018年にスイスのツークでも試験的に導入され、有効な電子デジタルIDを持つ220人の有権者が票を投じています。エストニアでも電子投票は進んでいます。
各国と比較すると、日本は政府が発行するデジタルアイデンティティの普及が遅れています。つまり日本はマイナンバーの普及が電子投票を継続的に実現させる上で欠かせないでしょう。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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