カンボジア国立銀行がソラミツと共同開発の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を正式運用開始
カンボジア国立銀行と日本のブロックチェーン開発企業ソラミツが共同開発するブロックチェーンベースの中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」システムが、カンボジアのリテール決済および銀行間決済の基幹システムとして2020年10月28日より正式運用を開始したことが明らかになった。
バコンはデジタル化されたカンボジアリエル(KHR)または米ドル(USD)を使用し、即時および最終的な取引を可能にする中央銀行デジタル通貨システムだ。
バコンは従来の決済システムと連携してシームレスかつ安全に機能し2020年第3四半期の時点でカンボジア全土の18の金融機関がすでに採用しているとのこと。
バコン専用のスマートフォンアプリを使用すると、カンボジア国内の電話番号を持っている人なら誰でも、デジタルリエルまたは米ドルのウォレットを保有し、電話番号を指定またはEMVCo(Europay、MasterCard、VISA Protcol)互換のQRコードをスキャンして個人間や法人間での送金を行い、店頭などでの支払いを行うことができる仕様となっている。
カンボジア国立銀行局長のマダム・チア・セレイ氏は「私たちは金融包摂、効率性、安全性を向上させるとともに、現地通貨の使用を促進することを目指しています。バコンはカンボジアの決済を利用するすべてのプレーヤーを同じプラットフォームの下に置くことで中心的な役割を果たし、利用者が銀行間の垣根を超えてお互いの支払いを容易にします」とコメントをしている。
あたらしい経済編集部はソラミツ社の宮沢和正氏へ取材をした。
ソラミツとしてカンボジアでバコンが流通したあとの最終的な目標はどのようなものかという質問に対し、宮沢氏は「バコンの技術を活かして、世界中の人々に金融サービスを提供し、社会課題を解決して行く事」と答えた。
さらに日本はCBDCに対してどのように取り組んでいくべきかという質問に対して宮沢氏は「デジタル人民元に凌駕されない様に、早急に具体的な検討や実証実験を進める事」だと話してくれた。
(images:iStock/Guzaliia-Filimonova・stockdevil)