米金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)が暗号資産の資金洗浄サービスの提供者ラリー・ディーン・ハーモン氏へ約63億円のペナルティを要求
金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)が銀行秘密保護法(BSA)とその施行規則に違反したとして、暗号資産の資金洗浄・ミキシングサービスを提供するヘリックス(Helix)とコイン・ニンジャ(Coin Ninja)の創設者兼管理者のラリー・ディーン・ハーモン(Larry Dean Harmon)氏へ約63億円(6,000万ドル)の民事上のペナルティを課したことを10月19日に発表した。 ミキシングサービスとはウォレット内の暗号資産のトランザクションを分けることで匿名性を高めるサービスのこと。
ハーモン氏は2014年から2017年までHelixを無登録のマネーサービス事業者(MSB)として、2017年から2020年までCoin Ninjaを運営していた。 現在Helixの運営に関連して、金銭商品ロンダリングの共謀と無免許送金ビジネスの運営の容疑でコロンビア特別区の米国連邦地方裁判所で起訴されているとのこと。
2014年6月から2017年12月まで、Helixは顧客のために122万5000件以上の取引を行い、約328億円(3億1100万ドル)以上の送受信を行った暗号資産ウォレットアドレスと関連していたとのこと。 FinCENの調査ではHelixを通じて少なくとも356,000件のビットコイン取引が確認されていて、 ハーモン氏はビットコインの資金洗浄サービス提供のためHelixを運営し、顧客が匿名でドラッグ、銃、児童ポルノなどの支払いをする方法として、インターネットのダークウェブ上でサービスを宣伝していた。 さらにFinCENの調査では、ハーモン氏が故意に銀行秘密法で認められた企業として登録し、プログラムや報告要件に違反していた。また麻薬密売業者、偽造業者、詐欺師やその他の犯罪者と取引を行っていたことも明らかになった。
編集部のコメント
9月にFinCEN文書が流出したことによって、FinCENが世界的に著名な金融機関であるHSBC、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティバンク、バークレイズ銀行、ドイツ銀行などがテロリストや犯罪者らの資金取引を認めて取引を行っていたことが明らかになっています。ブロックチェーン技術の浸透により、FinCENやその他機関は金融取引分析を行うためのデータを獲得しやすくなり、違法な金融取引を減少させていけるのではないでしょうか。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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