LIFULLとSecuritize Japanとエンジョイワークスが「葉山の古民家宿づくりファンド」でSTO実施を発表
デジタル証券の発行・管理プラットフォームを提供するセキュリタイズ・ジャパン(Securitize Japan)と不動産・情報サイトLIFULL HOME’S等の住生活関連サービスを提供するライフル(LIFULL)が株式会社エンジョイワークス社のプロジェクトである「葉山の古民家宿づくりファンド」を国内初の一般個人投資家向け不動産セキュリティートークンオファリング(Security Token Offering:STO)として実施することを発表した。
「葉山の古民家宿づくりファンド」のプロジェクトは目標募集額が1,500万円で、1口あたり5万円の投資が可能となっている。資金調達自体は始まっていて、目標募集額の1,500万円を調達できたらファンド組成が完了となる。そしてこのファンドはセキュリティートークン(ST)を発行し、投資家へSTを譲渡することとなる。
STを発行することで、持分譲渡の利便性・安全性が高まることが期待されている。具体的には、ブロックチェーン上のトークンにより第三者の証明を必要とせず自身の持ち分保有を証明でき、譲渡時にはスマートコントラクトを介しての暗号資産とのDVP(Delivery VS Payment)により、売買の一方当事者による債務不履行を防ぐことができるとのことだ。このファンドの場合ファンドとLIFULLとSecuritizeのSTプラットフォームが出資持分情報が連携されることとなっている。
株式会社LIFULLブロックチェーングループ松坂維大氏は「一般投資家向けの不動産STOは日本初であり、世界的に見てもまだ事例が殆どありませんが、その重要な一歩目を共に踏み出せたことを嬉しく思います。Securitize社が描くビジョンと創業から培われてきたブロックチェーン技術が、今後益々広く世界中へ浸透することを期待しております。」とコメントしている。
株式会社エンジョイワークス代表取締役福田和則氏は「今回、LIFULL社、Securitize Japan社ご提供のスキームにより、一般投資家向けのクラウドファウンディングにSTOスキームを導入するという国内初の取り組みを実現できることを大変嬉しく思います。出資者の皆様に利便性・安全性の高いスキームを提供し、当社の参加型クラウドファウンディング『ハロー!RENOVATION』コミュニティの拡大発展を目指してまいります。」とコメントしている。
Securitize Japanカントリーヘッド,ジャパン小林英至氏は「今回の取り組みは、Securitizeのこれまでの顧客実用経験に基づいた最先端のプラットフォームを、柔軟に利用いただけるという強みが最大限に活かされており、また日本におけるSTOの本格的ユースケースとして大きな一歩と言えるでしょう」とコメントしている。
追記:10月20日午後1時
あたらしい経済編集部は株式会社エンジョイワークス執行役員小川広一郎氏へ取材を行った。
エンジョイワークス執行役員小川広一郎氏へ取材
ーデジタル証券(ST)で発行して投資家へ付与しようと決めたのはいつでしょうか?
春頃にお話をいただき、検討させていただき決定いたしました。
ーそして具体的なメリットはどこにあると感じましたでしょうか?
運用期間中の出資持分流動性が高まります。これにより新しい投資家の方が参加しやすくなり、まちづくりの仲間を増やすことに繋がっていく点です。(まちづくり参加型のファンドという特性を保つため)
編集部のコメント
リリースによれば既に自社システムを運営中の場合でも、Securitizeプラットフォームのファイルインポート機能やAPIを利用することで、STの発行・管理機能を既存システムに対して部分的に組み込むことが可能とのことです。
これによってエンドユーザー(投資家)の投資申し込み等の手続きを従来から大きく変更することなく、運用期間中の出資持分の流動性を向上することができ、新規投資家の参加を期待できるとのことです。
(images:iStock/Vladyslav-Severyn)