IBMの影響力減少しインテルは撤退か、ハイパーレジャー(Hyperledger)の技術運営委員会の委員選出
マルチオープンソースイニシアチブ「ハイパーレジャー(Hyperledger)」が、同イニシアチブの技術運営委員会(TSC)の委員を選出するための選挙を行い、10月13日にその結果を発表した。
この選挙の結果として、15名のTSC委員のうちIBMから5名、コンセンシス(ConsenSys)から2名、その他ウォルマート(Walmart)、オラクル(Oracle)、富士通などからそれぞれ1名ずつが選出された。
TSCとはハイパーレジャー(Hyperledger)の傘下にある多数のプロジェクトの進行または廃止の管理、ハイパーレジャーに関する技術的問題に対する作業部会の設置などを行う組織であり、同委員会の委員は年に1度行われるハイパーレジャーコミュニティ内での選挙によって決定される。
TSCのメンバーは昨年まで11名で構成されていたが、委員全体に占めるIBM関係者の多さからIBMによるハイパーレジャーの支配が懸念されたため、今年から委員数が15名へと増員された。昨年までは11名の委員のうち6名がIBM関係者であったため、今回の選挙によってIBM関係者が占める割合は大幅に減少したことになる。
またハイパーレジャーのエグゼクティブディレクターであるブライアン・ベレンドーフ(Brian Behlendorf)氏によると、今回の選挙結果によってインテル(Intel)がハイパーレジャーへの関与を断念したことが浮き彫りになったとのこと。インテルは2016年からハイパーレジャー・ソートゥース(Hyperledger Sawtooth)と呼ばれるブロックチェーンの開発に携わっていたが、近年はその主導権をブロックチェーンスタートアップのビットワイス(Bitwise)へ譲っており、さらに前回TSCの委員であったインテルのDan Middleton(ダン・ミドルトン)氏が今回の選挙に立候補しなかったという。これらのことからインテルはハイパーレジャーの開発から撤退し始めていると考えられているとのことだ。
編集部のコメント
ハイパーレジャー(Hyperledger)は非営利の技術コンソーシアムであるリナックスファウンデーション(Linux Foundation)が中心となり活動をしています。ハイパーレジャーのコミュニティ内では様々なプロジェクトが動いています。主なプロジェクトとして、IBMが開発主導をしている「Hyperledger fabric」、ソラミツ株式会社が開発主導している「Hyperledger Iroha」などがあります。
参加企業には、ConsenSys、Digital Asset、R3や富士通、日立、IBM、Intel、NEC、NTTデータ、JPモルガンやアクセンチュアなど数々の企業が参加しています。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
(images:iStock/maystra・Kateryna-Bereziuk)