監査法人KPMGがCO2排出量を企業が正確に分析・報告するためのブロックチェーンソリューションを発表

監査法人KPMGがCO2排出量を企業が正確に分析・報告するためのブロックチェーンソリューションを発表

監査法人KPMGが企業の温室効果ガス排出量を正確に分析・報告するためのブロックチェーンベースのソリューション「クライメイト・アカウンティング・インフラストラクチャ(Climate Accounting Infrastructure:CAI)」を発表した。

CAIを開発した背景には、まず2020年には資本市場の投資家からの環境、社会、コーポレートガバナンス(ESG)の要求に応えるために、世界の組織がサステナビリティの実践と成果を報告することが期待されていることが挙げられている。また同時にCO2排出量の年々要件定義が難しく、排出量が拡大し続けているという課題が存在している。

KPMPは企業目標とコンプライアンス目標の両方を達成するためには、排出量データを測定し、説明し、報告するための信頼性と透明性の高いシステムが必要だと考えCAIを開発した。

CAIはCO2排出量データの透明性と信頼性の高い報告をサポートするために、IoTセンサーを含む組織の既存システムと外部データソースを統合し、ブロックチェーン上に記録されたCO2排出量とオフチェーンの検証可能な痕跡を確立する。またCAIは信頼できるリアルタイムの環境データと高度な分析機能を活用して、気候リスクが事業運営や財務パフォーマンスに与える影響をモデル化する。

KPMG USのブロックチェーンリーダーであるアルン・ゴッシュ(Arun Ghosh)氏は「投資家の関心が財務的な要因だけでなく、ESGの実践にも向けられるようになるにつれ、企業は進捗状況の透明性の高い開示とともに、CO2排出量の削減に向けた取り組みを強化しています。CAIによって可能になったような信頼性の高い報告機能はステークホルダーの期待に応え、新たな規制に対応するために不可欠となるでしょう」とコメントしている。

KPMG Global Renewableのリーダーであるマイク・ヘイズ(Mike Hayes)氏は「ESGの実践を近代化することはエネルギー、テクノロジー、ヘルスケア、小売業など、あらゆる産業にとって、財務パフォーマンスとレジリエンスの両方をサポートするための優先事項になりつつあります。その結果、グローバルな企業はデータと戦略を検証するために新しいテクノロジーを利用して、CO2排出コストに関連する環境リスクと財務リスクを不動産ポートフォリオのアプローチに統合しようとしています」とコメントしている。

編集部のコメント

KPMGはCAIの機能を市場に投入するために、業界団体、マイクロソフトなどの大手テクノロジー企業、および気候変動のディープテック企業コンテクスト・ラボ(Context Labs)、プリスクリプティブデータ(Prescriptive Data)、アリンフラ(Allinfra)などと協力しています。KPMGが気候変動に関する財務・会計情報の標準化を行うことにより、気候変動に関するブロックチェーン技術の活用は広がっていくかもしれません。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/sittipong-phokawattana・inkoly)

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「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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