アリペイのアントグループがブロックチェーンを活用した国際貿易プラットフォーム「トラスプル(Trusple)」をローンチ
アリペイ(Alipay)を運営するアントグループ(Ant Group)が中小企業や銀行向けの国際貿易のための新しいブロックチェーンプラットフォーム「トラスプル(Trusple)」を9月25日に発表した。トラスプルはBNPパリバ(BNP Paribas)、シティバンク(Citi Bank)、DBS銀行(DBS Bank)、ドイツ銀行(Deutsche Bank)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)と既に提携している。
トラスプルは買い手と売り手がプラットフォーム上で取引注文をアップロードすると、スマートコントラクトを生成する仕組みだ。そして注文が執行されるとスマートコントラクトは注文の発注、ロジスティックス、税金の還付オプションなどの重要な情報を自動的に更新する。またアントチェーン(AntChain)を使用することで、買い手と売り手の銀行は、スマートコントラクトを介して自動的に決済処理も行うことができる仕組みとなっている。
このトラスプルの自動化されたプロセスによって銀行は取引注文に関する与信コストを軽減でき、情報の改ざん防止も保証することができる。またトラスプル上での取引が成功することで中小企業はプラットフォーム上での信用力を構築することが可能となり、金融機関からの融資サービスを受けやすくなるとのことだ。
アント・グループの先端技術ビジネスグループプレジデントであるグォフェイ・チアン(Guofei Jiang)氏は「トラスプルは国境を越えた取引に関わる中小企業や金融機関の問題を解決するために設計されたものです。2004年に買い手と売り手の間の信頼関係を構築するためのオンラインエスクロー決済ソリューションとしてアリペイが登場したように、アントチェーンを搭載したトラスプルの登場により、買い手と売り手、そして彼らにサービスを提供する金融機関にとって、国境を越えた取引をより安全で、より信頼性が高く、より効率的なものにすることができると期待しています」とコメントしている。
スタンダードチャータードのニール・ダスワニ(Neil Daswani)氏は「世界中の中小企業は、新興国のGDPの40%を占めており、雇用創出に重要な貢献をしています。当社の先進的な金融機能をトラスプルのネットワークに統合することで、成長を続けるアジア域内貿易エコシステムへの中小企業の参加を促進し、地域の持続可能なサプライチェーンの発展を支援する真の機会を得ることができます」と述べている。
編集:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:iStock/Panuwat-Sikham)