ブラジル大手食肉加工会社JBSがブロックチェーンでのサプライチェーンの透明化の取り組みを発表
世界最大規模の食肉加工会社であるブラジルのJBSが南米の食肉生産者による森林破壊を防止するために、ブロックチェーン技術を導入することを9月23日に発表した。
JBSの食肉加工業は、違法な森林伐採を行う農場から牛肉を購入している可能性があるとして、環境保護の観点から批判されることが多かった。このような批判に対処するために今回JBSは、アマゾン地域の自然環境の保全のためのプロジェクト「Together For the Amazon」を発表した。
そしてJBSはこの「Together For the Amazon」において、ブロックチェーン技術を導入しサプライチェーンの透明化を2025年までに達成することを併せて発表した。ブロックチェーンを導入することで今までは監視できていなかった外部のサプライヤーについても監視ができるようになり、違法な森林破壊を行う業者からの食肉の入荷を防ぐことができるようになるとのこと。
またJBSは「Together For the Amazon」の一環として、アマゾン地域の持続可能な開発を促進するための基金「JBS Fund For the Amazon」を立ち上げ、2030年までに最大5億レアル(約96億円)を提供することを同時に発表した。その他にも現地の食肉生産者に対する法律、環境、畜産の教育サービスの提供、自然環境保全のための技術開発など、複数の取り組みを行うことも同時に発表している。
編集部のコメント
JBSは2017年に森林伐採が禁じられている土地で経営している牧場主から牛を購入し、ブラジルの環境規制当局から770万ドル(約8億4000万円)の罰金を科されています。また2019年7月にはJBSが違法に熱帯雨林が伐採された土地で牛を育てている牧場からまだ牛を購入している調査報告が上がっています。これに対しJBSは「JBSが購入した牛の99.9%は社会環境基準を満たしており、サプライチェーン内のすべてのリンクをカバーする新しい手順を実施し、熱帯雨林を違法に伐採した地域で育てられた牛の購入を停止するよう取り組んでいる」と声明を出しています。
JBSの主張の真偽はわかりませんが、JBSは他にも汚職、契約農場の従業員への強制労働による人権侵害、契約食肉加工場での動物虐待などが問題視されています。
現在JBSが主張するようにJBSと関連業者が不正な行いをしていない、または不正を行う業者との関係を断ち切ったという証明を行うには、真正性を保証するブロックチェーントレーサビリティの導入はすべきであり、また企業にとっての責任問題であると考えます。
ブロックチェーンによるトレーサビリティはサプライチェーンにおける問題発見や作業効率向上など導入すべきメリットがありますが、SDGsの達成など時代の流れと共にその導入意義が変わっており、またSDGsの達成は企業にとっての責任となってきています。
時代の流れによるブロックチェーントレーサビリティの導入は今後ますます求められていくと思われます。
文:小俣淳平(あたらしい経済)
編集・コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/stockdevil)