資産運用大手フィデリティ、ドイツ銀行、オールファンズらがブロックチェーンベースの報告ツールを2020年第4四半期から利用か

資産運用大手フィデリティ、ドイツ銀行、オールファンズらがブロックチェーンベースの報告ツールを2020年第4四半期から利用か

アメリカ資産運用企業大手フィデリティ(Fidelity)、スペイン資産運用大手オールファンズ(Allfunds)、イギリスのフィンテックプロバイダー企業カラストーン(Calastone)、オーストラリアのフィンテックプロバイダー企業リンク・グループ(Link Group)、スウェーデンの資産運用企業MFexミューチュアルファンド、オーストラリアの通信会社トランザクト(TransACT)、ドイツ銀行(Deutsche Bank)がファンド運営にブロックチェーン報告ツール「TISA Universal Reporting Network(TURN)」を2020年第4四半期から採用することが明らかになった

TURNはフランスのグローバルITコンサルファームであるアトス(Atos)とイギリスの金融サービス機関TISAによって開発されたツール。

TISAはデータとアナリティクスのコストを初年度で最大90%削減できると発表文に記載している。具体的にはTISAの会員はデータアナリティクスのコストに年間平均26,813,100円を費やしているが、4,021,965円までコストを削減できる可能性があるとのことだ。

TURNのCEOであるガリー・ボンド(Gary Bond)氏は「TURNはEMT規制データの収集と普及のためのソリューションを提供するだけでなく、参加企業のコストを大幅に削減し、それを顧客に転嫁することができる非常にエキサイティングなイニシアチブです。このような業界のリーダーがネットワークに参加し、今月末のテスト段階に入る前にTURNの構築を支援することは素晴らしいことです。これは業界が主導して運営する非営利のイニシアチブであり、最終的には消費者に最適な商品が提供されることを保証すると同時に、資産運用会社の管理にかかるコストと時間を削減することになります。この業界向けユーティリティーは、今月下旬に業界にデモンストレーションを提供する予定で、正式な立ち上げは2020年第4四半期の初めになると予想されています。その野心はMiFID IIの規制上の報告要件を緩和することであり、ブロックチェーン技術に基づいて欧州全域で利用できるようになる予定です。すべての関係者がリアルタイムでEMTs(欧州MiFID IIテンプレート)にアクセスできるようになり、これは高品質で一貫性のあるものになります。現在このような情報交換は一貫性がなく、時には、すべてのコストの開示を可能にするために必要なすべてのデータを他の企業から入手するのに苦労することもあります。TURNはファンドの透明性を高め、ファンドのプロファイリングをより簡単かつ正確に行うことができるようにします。より透明性の高いプロファイリングが可能になったことは個人投資家の要望に応えたものであり、来年ESG報告義務が課せられる際にも特に有効であると考えられます」とコメントしている。

リンク・ファンドの投資責任者であるアンドリュー・レリオット(Andrew Lelliott)氏は「リンクグループはTISAのユニバーサル・レポーティング・ネットワークの創設メンバーとなり、資産運用業界にとって非常に必要とされる業界全体のブロックチェーン・ソリューションの構築に向けて積極的な役割を果たすことを楽しみにしています。この業界が所有するユーティリティーは、効率性を促進し、リスクを軽減し、コストを削減し、消費者のために結果を改善するという私たちの共通の価値観に基づいています。データの共有と転送が将来に向けて最適化されるようにデータジャーニーを改善することで、業界全体にポジティブな変化をもたらすことを楽しみにしています」とコメントしている。

編集部のコメント

ヨーロッパでは2018年1月3日以降、金融商品の販売業者は、販売する投資ファンドの対象市場とコストに関する追加情報を顧客に提供しなければならなくなっております。その追加情報を報告する形式が「欧州MiFIDテンプレート(EMT)」と呼ばれています。資産運用企業が資産運用を行うコストや市場などを報告する際に、バラバラにかつ手動で記載していた形式を一元化することがTURNの狙いです。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/Who_I_am)

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あたらしい経済 編集部

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