欧州中央銀行(ECB)がステーブルコインのリスクを指摘

欧州中央銀行(ECB)がステーブルコインのリスクを指摘

欧州中央銀行(ECB)がステーブルコインの現状と金融政策、安定性、決済などへの潜在的な影響を検証する論文「Stablecoins: Implications for monetary policy, financial stability, market infrastructure and payments, and banking supervision in the euro area」を9月22日に発表した。

ステーブルコインは「暗号資産の付随通貨・決済通貨・価値貯蔵のための通貨」の3つの利用法があると欧州中央銀行はこの論文に記載している。また決済通貨、価値の貯蔵のための通貨として利用された際にリスクが潜んでいると伝えている。

ただ欧州中央銀行は価値の貯蔵としてのステーブルコインの普及は、決済通貨としての利用シナリオよりも著しく低いだろうと伝えている。

欧州中央銀行がステーブルコインのリスクとして考えているのは、決済通貨としてのステーブルコインへの取り付け騒ぎが起こる可能性と欧州地域以外の決済システムを利用すること。新興市場でのステーブルコインへの取り付け騒ぎは資産が存在する先進国市場に打撃を与える可能性があり、突然取り付け騒ぎが発生すれば短期の政府債務市場と銀行の両方に影響を与える可能性があるとのことだ。

その他の具体例として、ステーブルコインは中央銀行のマネタリーポリシーの一環としての政策であるマイナス金利実施を困難にさせる可能性があると論文で伝えられている。また銀行の手数料収入を減少させる可能性があることも伝えられている。

そして欧州中央銀行は「技術革新から最も価値のあるものを安全に引き出し、幅広いユーザーの利益になるような民間セクターの取り組みを可能にしたい」と結論を述べている。

編集部のコメント

9月20日に米国通貨管理局(OCC)が国立銀行と連邦貯蓄協会に対して、ステーブルコインのために準備金を保有することを許可しました。米国通貨管理局の文書では、ステーブルコインとはホストされたウォレットに関連付けられた暗号通貨の単位で、単一の不換通貨に裏付けられており、ステーブルコインの保有者が発行者に換金要求を提出すると、その裏付けとなる不換通貨に対して 1:1 の割合で換金可能なものであると定義されております。欧州中央銀行もステーブルコイン含め中央銀行デジタル通貨への研究は熱心で、引き続きその研究成果を発表し続けてくれるでしょう。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

(images:iStock/Nerthuz・Tuadesk・Nadiinko)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

21Sharesのドージコイン(DOGE)現物ETP、SIXスイス証券取引所に上場、米SECにETF申請も

スイス拠点の資産運用会社21シェアーズ(21Shares)が運用する、暗号資産(仮想通貨)ドージコイン(DOGE)に連動したETP(上場取引型金融商品)「21シェアーズ・ドージコイン・ETP(21Shares Dogecoin ETP)」が、スイスのSIXスイス証券取引所(SIX Swiss Exchange)に上場した。21シェアーズの公式Xアカウントで4月9日に発表された

「イーサリアム現物ETF」関連のオプション取引を米SEC初承認、BlackRock・Bitwise・Grayscaleが対象に

米国証券取引委員会(SEC)が、米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)運用のイーサリアム(ETH)現物ETF(上場投資信託)「iシェアーズ・イーサリアム・トラスト(iShares Ethereum Trust:ETHA)」に関するオプション取引の上場を承認した。SECが4月9日に発表した

米シーボーBZX取引所、カナリーの「スイ(SUI)現物ETF」をSECへ申請

米証券取引所シーボーBZX取引所(Cboe BZX exchange)が、暗号資産(仮想通貨)投資企業カナリー(Canary)が運営する「カナリー・スイ・ETF(CANARY SUI ETF)」の上場および取引開始に向け、4月8日付で米証券取引委員会(SEC)に提案書を提出した。同ETFは、暗号資産スイ(SUI)の現物価格に基づく投資信託となる

【4/9話題】Progmatが農中信託銀行・あおぞら銀行・ケネディクスから資金調達、リップルがHidden Roadを買収へなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored