PwCが防衛分野におけるブロックチェーン活用メリットを概説
プロフェッショナルサービスファームPwCが防衛分野におけるブロックチェーン活用メリットを概説したとLedgerinsightsが報じた。
PwCはサプライチェーンの複雑さを示す例として、F-35戦闘機を使用した。F-35戦闘機は1機あたり約30万個の部品が1900社以上のサプライヤーによって製造されいて、個々の部品だけでも、複数のサプライヤーからの部品を必要とするものもあるとのこと。
PwCはサプライチェーンのレベルが高ければ高いほど、サプライチェーンにおける混乱やサイバー攻撃の影響を受けやすくなるので、PwCはサプライヤーのリスク管理をより重要視すべきだと提言している。
PwCはサプライチェーンの効率化や透明性の向上など、ブロックチェーンの利点を強調した。ブロックチェーンは部品のライフサイクルのあらゆる段階を検証することができ、その透明性の特徴は単一の部品だけにサイロ化されるのではなく、サプライヤーネットワークのすべての階層にまで拡大することができると伝えている。さらにブロックチェーン技術はサプライチェーンに関与する人々の身元や資格を管理することもできると述べている。
PwCはブロックチェーンはサプライチェーンから使用中の運用資産の維持管理に至るまで、透明性とパフォーマンスを向上させる可能性は明確に存在するので、課題はどのOEM(Original Equipment Manufacturer)が大胆にイニシアチブを取り、ブロックチェーンを活用するために必要な能力への投資を開始するかということだけだと結論づけている。
編集部のコメント
米国国防総省(DOD)は、ブロックチェーンの可能性を明確に認識していて、過去1年間でブロックチェーン企業に複数の契約しています。例えば米海軍はブロックチェーン企業のSIMBA Chainに、ブロックチェーンベースのメッセージングとトランザクションプラットフォームを展開する950万ドルの契約をしました。その数ヶ月後には米空軍が部品トレーサビリティ・プロジェクトの第二段階でSIMBA Chainに150万ドルの契約をしました。
防衛分野はサプライチェーンの中でもセキュリティーの重要度が最も高い分野の1つだと考えられます。そのような分野でブロックチェーンが適用されていくと、マスアダプションの流れは加速すると考えられます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStock/artsstock-・XiXinXing)