三菱商事出資のシンガポール農業総合商社オラム・インターナショナルが額面金額約307億円のデジタル債券を発行

三菱商事出資のシンガポール農業総合商社オラム・インターナショナルが額面金額約307億円のデジタル債券を発行

シンガポールの農業総合商社であるOlam International(オーラム・インターナショナル)がシンガポールの証券取引所SGXのデジタル資産発行・預託・サービシング・プラットフォームを利用し、ブロックチェーン基盤でデジタル債券発行をして、決済を完了させたことを発表した。SGXはDigital Assetが作成したスマートコントラクト言語である「DAML」を利用して、債券とその分散型ワークフローをモデル化し、債券のライフサイクルを通じた発行とアセット・サービシングを行った。

なおシンガポールHSBCが今回のデジタル債券のオンチェーン決済ソリューションを提供し、シンガポール政府が所有する投資運用会社Temasek Holdings(テマセク・ホールディングス)デジタル債券のプラットフォーム開発を行った。HSBCのオンチェーン決済ソリューションは、債券発行者、債券契約の執行を行うアレンジャー、投資家やカストディアン間の資金移動を容易にするために、複数通貨でのシームレスな決済を可能にしているとのこと。

このデジタル債券は額面価格2億9,500万シンガポールドル(約229億7,865万円)のシンジケート付き5.5年債、額面価格1億シンガポールドル(約77億8,937万)のタップ発行の2種類に分けて発行されるとのこと。債券のタップ発行とは、市場動向に合わせて、発行回数を分けられる発行手法のこと。

SGXの債券・為替・コモディティ(FICC)担当シニア・マネージング・ディレクターのLee Beng Hong(リー・ベン・ホン)氏は「HSBC、Temasek Holdingsとの協力関係により、アジア初のデジタル・シンジケート・パブリック・コーポレート・ボンドが完成したことを大変うれしく思います。世界の債券資本市場は深く染み付いたレガシーシステムとのプロセスを特徴としていますが、この新技術により、より速くより正確により効率的に行うことができます。DLT(分散型台帳)とスマートコントラクトは急速に進化するテクノロジーであり、当社のビジョンはエンドツーエンドの社債発行とアセット・サービシング・プロセスを完全にデジタル化することです。我々はアジアの債券発行者のためのアジアの債券ハブであるシンガポールの債券市場インフラの強化に貢献できることを楽しみにしています」とコメントしている。

Olam International(オラム・インターナショナル)のマネージング・ディレクター兼グループCFOであるN Muthukumar(エヌ・ムトゥクマール)氏は「Olam Internationalは、SGX、Temasek、HSBCとの緊密なパートナーシップのもと、アジア初のデジタル債券を試験的に導入できたことを嬉しく思っています。デジタル化によりプロセス全体がより効率的で透明性の高いものとなり、当社のような発行体はより迅速に資金を受け取り、投資家はより迅速に債券を手に入れることができ、アレンジャー、カストディアン、銀行は取引エラーの発生可能性の低下と取引スピード向上の恩恵を受けることができるようになります。これはOlam Internationalが新たな戦略の一環としてデジタル化に力を入れていることと一致しており、持続的に成長し世界の農業と食糧システムを再構築するというわたしたちの目的を実現するためのものです」とコメントしている。

編集部のコメント

なお三菱商事は2015年にオーラム・インターナショナルに約1,300億円の出資を行なっています。そして三菱商事はオーラム・インターナショナルの株式20%を保有しています。 

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)

(images:iStock/Vit_Mar)

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