東京地裁がコインチェックNEM不正流出事件に関連する暗号資産(仮想通貨)に対して没収保全命令。暗号資産に対する命令は全国初
暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックの保有する暗号資産NEM(ネム)が不正流出した一連の事件に関連し、組織犯罪処罰法違反罪(犯罪収益収受)で公判中の男が不正に取得したとみられる流出したネムの一部に対し、東京地裁が同法に基づき没収保全命令を出したことが8月19日、共同通信社の捜査関係者への取材で明らかになった。
なお暗号資産に対する没収保全命令が出されたのは、全国で初の事例となる。
被告は不正流出したNEMと知りながら闇サイトを通じてビットコインとの交換に応じNEMを不正に取得していたとされている。これにより会社役員と医師の男2名が今年3月11日に警視庁に組織犯罪処罰法違反の疑いにより逮捕されていた。
共同通信社の捜査関係者への取材によると没収保全命令の対象は、被告の医師が国内の暗号資産取引所に預けていた約480万円相当のNEMやビットコインであるとのことだ。
編集部のコメント
2018年1月に発生したコインチェックNEM不正流出事件で、暗号資産取引所コインチェックのアカウントが何者かによって不正アクセスを受け、580億円相当の仮想通貨NEMが流出しました。
昨年3月にまとめられた国連の北朝鮮制裁委員会専門家パネルの報告書のなかで、金融機関や仮想通取引所に対するサイバー攻撃は北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」が関与していることを示唆していました(調査はロシアのサイバーセキュリティー会社によって行われている。また北朝鮮は関与について否定している)。
また昨年6月には、コインチェック社員のPCからロシア系グループの関与が指摘されるマルウェアが検出されました。なおこの事件については未だ犯人の特定ができていない状況が続いています。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/PhonlamaiPhoto・Максим-Ивасюк)