三井物産流通HDとNTTコミュニケーションズがブロックチェーン技術活用のサプライチェーンDXの共同実験に合意
三井物産株式会社の100%子会社である三井物産流通ホールディングス株式会社(MRH)とNTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)が、ブロックチェーン技術を活用したサプライチェーンDX(デジタルトランスフォーメーション)の実証実験を推進することに合意したことを8月17日発表した。なおこの実証実験は今秋より実施予定とのことだ。
この実証実験は2020年7月に三井物産株式会社と日本電信電話株式会社(NTT)が締結した「ブロックチェーンおよびIoT技術等の活用によるサプライチェーンDXに関する共同実験協定書」に則ったものとなる。
この実証実験ではMRHが持つ流通分野での需給管理ノウハウを活用し、両社はブロックチェーン技術の流通業界への適用に必要な技術研究をさらに進めるとともに、新たなサービス提供領域に向けたビジネスモデルの構築とサービス提供に向けた具体的な機能構築を進めていくとのこと。
今回の取り組みでは、Ethereum(イーサリアム)をベースとしたブロックチェーン技術にNTT研究所が開発したブロックチェーン活用技術である「トークン追跡効率化技術」を適用し、RFIDなどのIoTの情報と組み合わせた情報プラットフォームである「サプライチェーン情報基盤」を構築し、情報の活用に向けた検証を行うとのこと。
さらに今回の取り組みでは「サプライチェーン情報基盤」と、NTT Comの企業間取引データプラットフォーム(仮称)を活用した複数の企業間の請求データをデジタル化・一覧化を可能にする「コネクティッドバリューチェーンを実現する基盤」の連携を目指すとのことだ(コネクティッドバリューチェーンとは各企業間の取引を電子化することで価値をさらに創出するつながりのこと)。
編集部のコメント
MRHとNTT Comが今回の実証実験を推進することで合意に至った背景を説明します。三井物産グループとNTTグループはグループ内事業会社を中心に2019年より「リアルタイムデータを活用したフードロス削減」をテーマに共同実証実験を実施していました。
この取り組みの中でブロックチェーン技術とNTTのもつ特許技術の組み合わせにより、三井物産グループの持つ様々なサプライチェーン領域における新たなニーズの発見と、現在、各領域で抱えている課題の解決が実現できる目途が立った為、今回の実証実験の推進の合意に至ったとのことです。
またNTT研究所が開発をしたブロックチェーン活用技術である「トークン追跡効率化技術」は、トークンを商品等の来歴の追跡に適したデータ構造として設計することで、追跡処理の時間を最大100倍程度高速化できる技術とのことです。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/champc・Rudzhan-Nagiev)