台湾のブロックチェーンセキュリティ企業CoolBitX(クールビックス)とイギリスの暗号資産取引の解析企業Elliptic(エリプティック)が提携
ブロックチェーンのセキュリティ基盤を提供するCoolBitX(クールビックス)と暗号資産(仮想通貨)のマネーロンダリング対策ソリューションを提供するElliptic Enterprises(エリプティックエンタープライズ)がFATF(金融活動作業部会)のトラベルルールの準拠に向けたサービスの連携を目指し、パートナーシップを締結したことを7月21日に発表した。
FATFとはマネーロンダリング対策(AML)やテロ資金対策(CFT)に取り組む政府間機関。そしてFATFが定めるトラベルルールとは、マネーロンダリング防止のための電信送金に関するルールのことだ。
このトラベルルールでは、取引所などの仮想資産サービスプロバイダー(VASPs)は高額の取引が行われる場合に送信者と受信者の正確な顧客情報をFATFに共有しなければならないと定められており、VASPsは2021年6月までにこのルールに対応する必要がある。
こうした背景を受け両社は、CoolBitXが提供するVASPs間の顧客情報の収集や共有を安全に行うためのツール「Sygna Bridge(シグナブリッジ)」と、Ellipticが提供する暗号資産取引の分析や評価を行うためのツール「Navigator(ナビゲーター)」「Lens(レンズ)」を連携することで、暗号資産を扱う企業のAML規制への対応を支援するソリューションを提供するとのことだ。
なおCoolBitX、Elliptic両社ともにSBIグループから多額の出資を受けている。
SBIホールディングス株式会社の代表取締役社長である北尾吉孝氏は「SBIホールディングスはクールビットエックスとエリプティックのパートナーシップについて大変嬉しく思っております。また、金融機関として、ブロックチェーン技術と暗号資産の活用を促進するにあたり、規制遵守と企業間の協業が重要であると認識しています。今回、Sygna Bridge(シグナ・ブリッジ)とエリプティックのリスク管理ツールが組み合わされることにより、業界初となるFATFのガイダンスに準拠したコンプライアンス対応を可能とするパッケージソリューションが取引所に対して提供されます」とコメントしている。
編集部のコメント
CoolBitXは2014年に創業した台湾を拠点とする企業です。ブロックチェーン上の取引に関するセキュリティ分野に強みを持っており、Bluetooth対応のカード型コールドウォレット「CoolWallet S」や、仮想資産サービスプロバイダー(VASP)間における顧客情報の共有を可能とする「Sygna Bridge」が代表的なプロダクトとなっています。またCoolBitX社は、2020年2月にSBIクリプトが主導したシリーズBラウンドで約18億円を調達しています。
Ellipticは2013年に創業したイギリスを拠点とする企業です。暗号資産の不正取引を阻止することをミッションに掲げ、金融機関や暗号資産を扱う企業のAML/CFTなどの規制対応を効率的に促進するために、取引データから不正なトランザクションを検出するツールを提供しています。同社は2019年9月にSBIインベストメントが主導するシリーズBラウンドで約24億円を調達しています。
コメント:小俣淳平(あたらしい経済)
(images:iStock/dalebor・Lidiia-Moor)