Gaudiy(ガウディ)と慶応大学坂井豊貴教授が共同でブロックチェーン上に発行したコンテンツを販売するための新オークション方式「Gaudiy-Sakai方式」を開発

Gaudiy(ガウディ)と慶応大学坂井豊貴教授が共同でブロックチェーン上に発行したコンテンツを販売するための新オークション方式「Gaudiy-Sakai方式」を開発

株式会社Gaudiy(ガウディ)が市場設計の第一人者である慶応義塾大学教授の坂井豊貴氏と、デジタルコンテンツの販売に適した新オークション方式を共同で開発したことを7月21日発表した。

この新オークション方式「Gaudiy-Sakai方式」は、ブロックチェーンを活用したアセット(NFT:Non-Fungible Token)の発行に適したものであるとのこと。

「Gaudiy-Sakai方式」では、価格が初期の低い設定から上がり続ける「競り上げ式」をベースに設計することで、今までNFTのオークションに利用されていた「ダッチオークション方式」が抱えていた問題点を軒並み解消し、これまでのオークション方式と比べて参加者が適正な評価による入札ができる、公正でユーザーフレンドリーな設計になっているとのこと。

また「Gaudiy-Sakai方式」では、オークションの実施期間を「参加者の需要に応じて発行枚数を決定するための事前入札期間」「アイテムの価格を決めるオークション当日」の二段階に分ける方式をとることにより価格と発行枚数を適切に調整できる仕組みと、「誰がいくらで入札したのかを秘匿して、自由な価格で入札させ最高額を提示した落札者に、第2位の入札者の入札額で販売する方式」である「ヴィックリー方式」のアイデアを採り入れることで「安心して高い入札額を付けられる」仕組みを実現したとのことだ。

「Gaudiy-Sakai方式」のオークションで、漫画『猫娘症候群』(かとるすしんどろーむ)とブロックチェーンゲーム「クリプトスペルズ」のコラボで誕生したデジタルアイテム(NFT)を販売し、その結果500円から入札を開始したアセットが、最終的には発行枚数129枚、落札価格が9,000円になったとのことだ。

設計の意図と骨子についての詳細は以下の論文にて。
“A Two-stage ascending auction protocol for digital goods ∗” Toyotaka Sakai, Takuya Goto, and Yuya Ishikawa, June 8, 2020

編集部のコメント

「ダッチオークション方式」とは、価格が初期の高い設定から下がり続け入札の先着順で落札していくオークション方式です。この方式には修正が加えられ、価格が上がったり下がったりする不明瞭な仕組みも使われているそうです。

こういったオークションは
(1)ユーザーが競り落とせるか否かに「運任せ」の要素が強い
(2)発行枚数の決定がうまくできていない
(3)一物一価の公正が達成されない(一物一価:同一の市場・時点における同一の財・サービスは一つの価格しか成立しえないという法則)。

といった問題点を抱えているということです。

オークションでは、自分の評価基準で対象を評価しますが、他の入札者の評価基準も参考にして価値を推定します(相互依存価値または相関価値)。つまり他者のオークション対象への評価が自分の評価に影響を与えるということです。

今回発表された「Gaudiy-Sakai方式」では「競り上げ式」により、オークションのプロセスのなかで他者の入札の様子が分かり、自分の評価も更新することがきます。つまりダッチオークション方式に比べ、参加者が適正な評価による入札ができるということです。

また「ヴィックリー方式」のアイデア(入札価格第2位の価格で1位入札者が落札を決める)を取り入れることで「ブロックチェーン上で行う競り上げ方式によるオークション」の難問を解決したということです。これはブロックチェーンにより「入札のたびにGAS代がかかってしまうこと」「入札の更新に時間が要り迅速な競り上げに向いていないこと」で、これは「競り上げ式」を導入するためには少ない入札回数で満足のいく入札ができる方式でなければなりません。「ヴィックリー方式」のアイデアを取り入れることで高い入札額で競り落としても、支払額はそれより低く済みます。なので最初から高い入札額を入れておいても損をしないということです。そのため入札締め切り間際になって競り上げ合戦をすることも必要が無くなるということです。なお実際に行ったオークションでも入札締め切り間際の駆け込みは発生しなかったとのことです。

なお実際に「Gaudiy-Sakai方式」で行われたオークションにかけられたNFTのキャラクター元の漫画『猫娘症候群』(かとるすしんどろーむ)は、Gaudiy社が先日7月14日に業務提携を発表したコミックスマート株式会社の運営するマンガアプリ「GANMA!(ガンマ)」で連載中の漫画です。

コメント:大津賀新也(あたらしい経済)

(images:iStock/PhonlamaiPhoto)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【12/20話題】NTTドコモのERC6551搭載ゲームβ版、「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」正式承認など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored