大同生命とディーカレットが自社ブランドのデジタル通貨発行の実証実験開始
T&D保険グループの大同生命保険株式会社と株式会社ディーカレットが2020年7月7日よりデジタル通貨発行に関する実証実験を開始したことを発表。目的は生命保険業へのデジタル通貨やブロックチェーンの応用可能性の検証とのことだ。
大同生命はディーカレットが構築している「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」を用いて大同生命ブランドのデジタル通貨を発行し、実証実験参加者に限定した仮想経済圏を構築するとのこと。この実証実験で発行するデジタル通貨の有効期間は、2020年7月から8月の約2カ月間だ。
実証実験の参加者は大同生命の役職員、約100名程度とのこと。参加者らがスマートフォンのアプリでデジタル通貨を保有し、参加者間だけで利用する。 具体的には、物品購入、日々の歩数など健康活動の成果に基づく自動積立のほか、 募金とりまとめ者による集金など社会貢献活動にも活用していくとのこと。
この実証実験を通じて、大同生命とディーカレットは一連の事務運用等を確認し、保険料収納、保険金支払など実業務への応用可能性を検証するとのこと。さらにこの実証実験で使用するブロックチェーンを大同生命とディーカレットの2社で共同構築し、相互運用性など技術的な課題の洗い出しを行なっていくとのこと。
ディーカレットのデジタル通貨プラットフォームの特徴として、利用企業が自身のブランドでデジタル通貨を発行する機能、スマートコントラクトを利用した処理の実装機能などがあげられている。
今後ディーカレットはプラットフォームの事業化を目指していて、決済サービスへの価値移転や交換機能・サービスなど、デジタル通貨の利便性を高めるサービスの提供を増やしていく予定とのことだ。
追記:7/9 17:00
「あたらしい経済」編集部は、大同生命保険株式会社 共創戦略室課長 土川陽平氏と株式会社ディーカレット ビジネスアライアンスグループヘッド 葉山揚介氏へ取材を行った。
大同生命 土川陽平氏のコメント
−現在、保険業界が直面している最も大きな課題はなんでしょうか。
生命保険は、誰かのアドバイス等がないとお客さまが加入しづらいという商品特性があるため、対面でのコンサルティングの重要性が急に変化することは無いと考えていますが、デジタル化が進む中で、対面・非対面が融合した取組みが加速する可能性があります。
特に、各種手続きについてはお客さまの利便性向上の観点から、非対面化・デジタル化を進めていく必要があると考えています。
−なぜ保険業界が直面している課題は中央管理型の決済システム上の通貨では
当社は中小企業市場に特化しているため、法人契約が多くを占めていますが、銀行の法人口座では、保険料の引き落としの手続きに今でも紙と印鑑が必要な場合が多く、非対面・デジタルで手続きを完結できない要素のひとつになっています。
デジタル通貨は、スマートコントラクトにより受発注の処理と同時に支払いが行えるようになるなど、今後、法人間の決済の効率化につながる技術と期待しています。
生命保険手続きの非対面化・デジタル化を進める中で、将来的にデジタル通貨が普及した場合に、デジタル通貨での保険料収納や保険金支払いにも対応できるよう、準備を進めたいと考えています。
ディーカレット 葉山揚介氏のコメント
−大企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)を実装しよう
各社の課題については、守秘義務の関係もあり当社からお伝えで
そしてディーカレット社としては、当社が考える新しい金融のパラダイムシ
−ディーカレット社が開発している「ブロックチェーン上でデジタル通貨を発行・管理するプラットフォーム」は、その他のCorda、Hyperledgerなどと比較した際に、何が特徴的なのでしょうか。
当社の本プラットフォームは、ユースケース等に応じて適当なブロックチェーンを用いたデジタル通貨の発行・管理プラットフォームを開発しております。
特徴は、ユースケース等に応じて適当なブロックチェーンを活用できる事、またブロックチェーンやスマートコントラクトを意識せず、各社様既存Webサービス等に組み込めるインタフェースをご用意する事などがございます。
追記:ここまで
編集部のコメント
大同生命は2019年7月にディーカレットに出資しています。今回の実証実験はその取組みの一環の位置付けとのことです。2ヶ月間の実証実験で得られた結果は、多くの企業に参考になるものだと思われます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStock/PhonlamaiPhoto・Максим-Ивасюк・dalebor・Panuwat-Sikham)