チェーントープがブロックチェーン技術を利用して行政文書のデジタル化に向け実証事業を実施
株式会社chaintope(チェーントープ)と株式会社ハウインターナショナルが、福岡県飯塚市が交付する各種証明書をスマートフォン上で扱うことができるサービスの実現に向け、実証事業を開始したことを7月3日発表した。なお各種証明書の電子交付にはチェーントープのブロックチェーン技術を採用する。
またこの実証事業では電子データの信頼性を確保する仕組みである「トラストサービス」の構築を、飯塚市の住民情報システムの開発を手がけるGcomホールディングス株式会社と共同で行うとのこと。
この実証事業で構築する「トラストサービス」では、飯塚市が電子交付を希望する住民の利用申請を受け付け、申請者の身分・資格に関する各種証明書を、住民情報システムを通じてクラウド・サーバー上のシステムに安全に保管をする。そして利用者は自身のスマートフォンを使って、いつでもどこでも自分自身の証明書をダウンロードでき、身分を証明したい相手の事業者に提示することができるとのこと。さらに証明書を提示された事業者はインターネット上の「トラストサービス」を通じて、その証明書が不正に作成されたものでないことが確認できるとのこと。
またこの「トラストサービス」の設計は、証明書の要約(メッセージ・ダイジェスト)に発行者である飯塚市が電子署名したデータと交付した日時(台帳に記録した日時)を保管する仕組み(タイムスタンプ)を基礎として行うとのこと。このタイムスタンプ情報はチェーントープが開発したブロックチェーンTapyrus(タピルス)によってインターネット上に公開をする。また実証事業後の「トラストサービス」の運用は、複数の自治体や事業者によって分散的に安全に管理されるとのことだ。
なおこの実証事業では、社会実験として来年1月から3月の期間に飯塚市が電子交付する証明書を紙の証明書と同等に流通させる取り組みを行うとのこと。飯塚市に住民登録をしている住民と飯塚市近郊・福岡県内に拠点を持つ事業者、飯塚市民にサービス提供をしている企業や大学を対象に公募を行う。公募の受付は12月を予定しており、飯塚市より告知が行われるとのことだ。
編集部のコメント
チェーントープは昨年8月に福岡県飯塚市、株式会社カグヤ、株式会社ハウインターナショナルとともに、飯塚市幸袋(こうぶくろ)の旧伊藤伝右衛⾨邸前の⻑崎街道を中⼼として、ブロックチェーンと再⽣した古⺠家群を活⽤する「ブロックチェーンストリート」の開設に向け始動したことを発表しています。
このプロジェクトでは市内に存在する古⺠家群を再⽣させ、それらをコワーキングスペースやシェアオフィス、シェアハウス、コリビング、宿泊施設として、国内外のブロックチェーンエンジニアや企業が集い、連携できる環境を整えるとのことでした。また将来的にはこの環境を活⽤して定期的にハッカソンやブロックチェーン関連のイベントを開催し、飯塚で最先端のブロックチェーンの情報に触れて学ぶことができる環境を⽣み出し、飯塚が世界で最先端のブロックチェーンの情報と技術の集積地となることを⽬指すとのことでした。
その後昨年12月に「ブロックチェーンストリート」構想のひとつである「Blockchain Awakening(通称:BA、飯塚市有安)」を開校し、それ以降はハッカソン等を開催しています。
なおこのプロジェクトについてチェーントープは7月6日に新たに発表を行っています。
チェーントープは2020年8月から、完全リモートワークと古民家シェアを導入し、「エンジニアが働く場所を自由に選び、より個人の成長を高める環境を自ら作り出すオフィスを持たない新しい働き方(暮らしフルネス)」に移行する事を発表しました。前述した「ブロックチェーンストリート」構想の拠点である古民家「聴福庵(飯塚市幸袋)」と「Blockchain Awakening」をシェアオフィスとして活用をするとのことです。従来の本社オフィスは7月10日にて業務を終了するとのことです。
またチェーントープでは、ミャンマー無電化地域にてブロックチェーン技術を活用した取り組みや株式会社ウェザーニューズと海運業界のCO2排出削減量を客観的に評価する「マリンカーボンブロッキング」提供に向けた共同研究、近畿日本鉄道株式会社らとブロックチェーン技術を用いたデジタル乗車券の実証実験など行っています。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/Igor-Korchak・b14ckminus)