(みんな電力代表取締役 大石英司氏コメント追記)みんな電力が電力のブロックチェーントレーサビリティシステムを応用し人権と環境に配慮したバッテリーの開発普及へ

みんな電力が電力のブロックチェーントレーサビリティシステムを応用し人権と環境に配慮したバッテリーの開発普及へ

みんな電力株式会社が認定NPO法人ACEと業務提携契約を締結し、人権と環境に配慮した原料を使ったバッテリーの開発と普及を目的とした「みんなでフェアチャージ!プロジェクト」に共同で取り組むことを6月16日発表した。

「みんなでフェアチャージ!プロジェクト」は、スマートフォンなどで使用されるリチウムイオン電池の主原料である希少金属「コバルト」のサプライチェーンを見える化し、人権と環境に配慮したエシカルなリチウムイオン電池の開発・普及を目指すとのこと。

現在スマートフォンの構成部品はグローバルに分業されて調達や組み立てが行われており、関連する資源がどこから調達されているのか不透明な状態になっているとのこと。特に「コバルト」の採掘現場では、児童労働や強制労働などの深刻な人権侵害があることが国際人権NGOやメディアから指摘を受けているとのことだ。

それに対し「みんなでフェアチャージ!プロジェクト」では「コンゴ民主共和国などのコバルト採掘現場における児童労働の実態調査」や「精錬・流通から部品製造に至る取引の流れにおける各業界(家電、携帯、ファッション業界)の児童労働への関与、撤廃・防止にむけた取り組みの実態調査」を行っていくという。

そして「コバルト」のサプライチェーンの見える化には「みんな電力社のブロックチェーン技術を活用した希少金属のトレーサビリティプラットフォームの構築を行うとのことだ。

このブロックチェーン技術を活用した希少金属のトレーサビリティプラットフォームの構築には、みんな電力社が世界で初めて商用化した電力のブロックチェーントレーサビリティシステム「ENECTION」を応用展開していくとのこと。

みんな電力社は、希少金属のトレーサビリティプラットフォームの活用および電池メーカーとの連携により、児童労働に関与しないフェアかつエシカルなバッテリーの開発および普及を目指していくとのことだ。

追記:6月16日17:30

今回の取り組みでは児童労働・強制労働における人権侵害の関与・撤廃・防止を目指したものでトレーサビリティとしては遡及の部分になるが、あたらしい経済編集部がみんな電力社広報担当へ問い合わせを行ったところ、将来的にはコバルトを第一生産者から消費者が購入・利用・リサイクルするまでを追跡する取り組みについても検討をしているとのことだ。またシステムについても現状のブロックチェーンをベースに開発し対応をしていく予定であるとのことだった。

また、みんな電力株式会社の代表取締役である大石英司氏はあたらしい経済編集部へ「みなさんが毎日使っているスマホのバッテリー、モバイルバッテリー、パソコンのバッテリーが実はコンゴの児童労働に繋がっていることはご存知だったでしょうか?私も最初聞いた時にとてもショックだったのですが、実は児童労働に関わる希少金属を使う「顔の見えないIT機器」は決して少なくないのです。今回日本を代表するNPO「ACE(エース)」さんと提携し、また弊社のブロックチェーン技術を活用し、様々なメーカー様を巻き込みながら、エシカルでフェアでトレーサブルな「顔の見えるバッテリー」の開発を目指す、新たな調査プロジェクトをスタートしました。まずは知ってもらうことから始めて欲しいと、この分野の第一人者の東京大学華井先生、ACEさん、弊社とで無料のオンラインイベントを開催いたします。是非ご参加頂ければと思います。まず消費者サイドが声を上げることで、エシカルでフェアなバッテリーをみんなで作っていきましょう!」とコメントしてくれた。

イベント詳細はこちら
開催日時:6月17日(水)14:00~16:00
テーマ :コバルトの責任ある調達と消費について考える
視聴方法: みんな電力 公式Facebook  公式YouTube 

追記終了

編集部のコメント

今回のニュースで希少金属のトレーサビリティプラットフォームに応用するとしている、みんな電力社開発の「ENECTION」は、電力のトレーサビリティシステムとして2018年12月に商用化されました。同システムは電力の購入履歴をトラッキングし、これまで年間単位の取引だった発電量と需要量を30分毎に個々にマッチングし、その結果をブロックチェーン上に記録することができます。

ちなみに発電者から需要者へ電気がどこからどれだけ流通したのかを、電気使用量であるkWh(キロワットアワー)をトークンPTk(Power Token)に置き換えることでトレーサビリティを実現しています。

先進各国の産業における児童労働、強制労働への関与を示す指標である「Global SlaveryIndex 2018」ではG20諸国の国別の現代奴隷関与の規模(リスク品の輸入額)を公表しており、日本は第2位で470億米ドルと報告されています。

品目別では、PCや携帯電話などの電子機器が2,000億米ドルで最大リスクが存在するとされており(以下、衣類1,277億米ドル、水産資源129億米ドル、カカオ36億米ドル、さとうきび21億米ドル)、日本が比較優位の地位を維持する産業分野に大きな人権リスクが存在していることになるそうです。

2011年に国際連合の場で「ビジネスと人権に関する指導原則」の枠組みが全会一致で合意され、企業の責任は原料の生産過程まで及ぶことが確認されました。また2015年にイギリスで「現代奴隷法」が制定され、企業が自社のサプライチェーンに強制労働・児童労働や人身取引がないことを担保するために実施した取組みについて報告することが義務付けられたのを皮切りに、フランス、オーストラリア、オランダなど、同様の法制化が先進各国で進んでいます。

その一方で、上記報告によれば、現代奴隷への関与を防止する政府政策の評価格付けでは、日本はCCCとされており大きな課題が残されているとのことです(167カ国をA、BBB、BB、B、CCC、CC、C、Dの8段階で格付。最高格付Aを取得したのはオランダのみ)。

不当な労働環境や人権侵害がブロックチェーンを利用することで見える化し改善に向けて動くことは、非常に良い取り組みだと思います。上記のように企業のビジネスによる人権侵害が原産国までに及ぶ取り決めも、今回のニュースのような活動によってさらに認知されるべきだと思います。

コメント:大津賀新也(あたらしい経済)

(images:iStock/liuzishan)

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これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

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