広告モデルに依存しないWebメディアの新たな可能性、ハッカヌーン(Hacker Noon)がCoil(コイル)から資金調達し戦略的提携
テック系パブリッシングプラットフォームであるハッカヌーン(Hacker Noon)が、コンテンツ提供プラットフォームCoil(コイル)を運営するCoil Technologiesから100万ドル(約1億700万円)の資金調達を行ったことを6月10日発表した。そして両社は3年間の戦略的パートナーシップを結んだ。
ハッカヌーンは主にテック系のニュースやブログ記事、開発者向けコンテンツなどを取り扱っており、月間で1万2,000人の寄稿者と400万人の読者を抱えるコンテンツプラットフォームだ。
CoilはCoil Technologiesが運営するコンテンツを広告などに頼らず収益化できるプラットフォーム。Coilはユーザーに月額5ドルでコンテンツを提供し、ユーザーである読者がコンテンツを消費した時間によってマイクロペイメント(少額決済)で暗号資産(仮想通貨)がコンテンツの寄稿者へ自動的に還元される仕組みを提供している。なおCoil Technologiesの創設者兼CEOは、Rippleの元CTOだったStefan Thomas(ステファン・トーマス)氏である。
今回のパートナーシップによりCoilの読者がハッカヌーンの記事を読むことで、その記事を寄稿した特定のハッカヌーンの寄稿者に対し少額の暗号資産が還元されるようになった。
ハッカヌーンの寄稿者が報酬を受け取るには専用のデジタルウォレットの設定と、Coilで利用されているオープンソースのブラウザAPIの「Web Monetisation」のメタタグを記事に設定する必要がある。なお「Web Monetisation」の構築にはInterledgerのオープンプロトコルが活用されていて、多くの通貨に対応をしているとのこと。
なおハッカヌーンは寄稿者がCoilを介して得た収益を、インターネットをより良い場所にする活動をする慈善団体に寄付できる機能の追加も予定しているようだ。
編集部のコメント
「Web Monetisation」の構築に利用されている「InterLeger Protocol(インターレジャープロトコル)」は銀行システムやビットコイン(BTC)など、世界中にある異なる台帳やネットワークの垣根を超える決済方法の国際標準規格です。
ビットコインをはじめとする暗号資産のブロックチェーンネットワークや銀行など既存の金融機関のネットワーク、クレジットカード会社のネットワーク、Paypalをはじめとするモバイル決済ネットワークなど、異なるシステム上で動いている台帳をつなぎ、これまで互換性がなかった異なる台帳同士の取引をスムーズにできるよう、決済における標準的な規格を作ろうという取り組みです。
また「InterLeger Protocol」はCoilの創設者兼CEOのStefan Thomas(ステファン・トーマス)氏がリップルのCTOだった2015年に、同じくリップルのソフトウェア設計者Evan Schwartz(エヴァン・シュワルツ)氏とともに発明をした規格です(ちなみにシュワルツ氏は今年1月にCoilの取締役に就任しています)。現在では非営利団体のW3C(World Wide Web Consortium)で標準化が進められています。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:iStock/antoniokhr)