Microsoft、EY、ConsenSysらが開発するBaseline ProtocolがGoogleスプレッドシートとMicrosoft 365の統合の実証実験に成功
Microsoft(マイクロソフト)、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、ConsenSys(コンセンシス)らが開発するBaseline Protocol(ベースラインプロトコル)が、GoogleスプレッドシートとMicrosoft Dynamics(マイクロソフトダイナミクス) 365の統合の実証実験に成功したことを、Baseline Protocolの開発企業であるLimeChain(ライムチェーン)がYoutubeで発表した。
なお今回の実証実験はブロックチェーンソリューション企業のLime Chain、Provide(プロバイド)の共同のものだ。
この実証実験の成功によって、Googleスプレットシートを使用しても、Microsoft Dynamics 365が提供するエクセルなどで異なるレコードを共通で処理できるようになる。レコードとはデータベース内のテーブルを構成する単位のひとつで、一行分のデータを指す。
Baseline Protocolの開発背景には、企業がERP、CRM、およびその他の内部記録システムに数億ドルを費やしている現状がaru。組織間で内部記録システムを適切に同期させることができなければ、内部紛争、在庫の損失、資本コストの増加、規制措置、その他の価値の流出などの原因となるとのことだ。
そしてこれらの問題を回避するためには、大規模なパートナーシップにしかできない統合レイヤーが必要。そこでBaseline Protocolの課題へのアプローチとしては、イーサリアムのメインネットを共通の参照フレームとして使用することで、参加企業がネットワークに常に参加している状態となり、企業はネットワークを使用した分だけ、費用を支払えば良い状況となる。
ConsenSysの開発者でBaseline Protocolの共同創設者であるJohn Wolpert(ジョン・ウォルパート)氏は「単一の真実を一つの大きなデータベースに集約するブロックチェーンではなく、全ての人の情報を一つの大きなデータベースに集約するという点で異なる」とCointelegraphの取材に答えている。
編集部のコメント
Baseline ProrotocolはEY、Consensys、Microsoft3社を中心に、その他12社が関わるイニシアチブです。注目すべきは監査法人が参加している点だと思われます。なぜなら現在監査企業は相互運用性が低いEnterprise Resources Planning(ERP)を利用しています。そこでEYはERPが他の業界などとのデータ連携には適していないと考え、パブリックブロックチェーンNightFallを中心にその他周辺の秘匿技術などを開発してきました。
Baseline Protocolの技術的側面も説明します。Baseline Protocolは、主に4つのアーキテクチャーサービスで構成されていて、その4つとは、Baseline API、Queuing system、Secure message service、Zero-Knowledge-Proof Serviceです。そして、「Baseline Protocol」の開発における主要なフレームワークであるUnibright(ユニブライト)は、イーサリアムのメインネットを介して、クラウドやウェブサーバーなどと接続可能にするもので、Unibrightフレームワークには、スマートコントラクトモデリング、データ生成、相互接続、監査などの機能が存在しています。
あたらしい経済編集部は、Baseline Protocolがエンタープライズブロックチェーン領域における大きなユースケースの一つになる可能性があると考えています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStock /Aleksei_Derin・dalebor・antoniokhr)