マイクロソフトがビットコインベースの分散型ID管理ツール「ION/イオン」のベータ版をメインネットで公開
Microsoft(マイクロソフト)がビットコインベースの分散型ID管理ツールであるIdentity Overlay Network(ION/イオン)のベータ版をメインネット上で公開した。
IONは、DID/DPKI(分散型公開鍵基盤)をサポートするために、ビットコインのレイヤー2技術であるSidetreeプロトコルをベースに実装されたパーミッションレスな分散型識別子(DID)ネットワーク。つまりMicrosoftから独立して動作するように構築された分散型ネットワークということだ。
IONのネットワークノードは、P2Pの分散型ファイルシステムであるIPFS(InterPlanetary File System)を介し、ハッシュに関連付けられた分散型IDを利用して大量のデータのトランザクションを取得、保存、複製するために機能する。そしてIONはブロックチェーンに依存しないSidetreeプロトコルを活用することで、1つのオンチェーン・トランザクションを使用し、利用するブロックチェーン上で何万ものデータを認証局なしに分散型公開鍵基盤で運用することが実現できる。
つまりユーザーはFacebookやGoogleなどのテック企業にデータを管理される必要はなくなり、データを自らで安全に管理しながら様々なサービスを利用できるようになる。
マイクロソフトはベータ版を運用している間にノードを実行し、次の協力者としてBitPayやGeminiなどに加えて、ビットコインのスタートアップCasaと協力する予定とのことだ。
編集部のコメント
アメリカのマイクロソフトは2019年5月13日にIONのプレビュー版を公開していました。そして約1年1ヶ月を経て、ベータ版をメインネットにローンチしたことになります。IONのGithubでは、IONのポイントとして、新しいトークンやコインを発行せず、オンチェーンの運用にフォーカスすること、 ネットワークノードは追加のコンセンサスメカニズムを必要としないことなどが記載されています。
「データの所有権」はグローバルで問題となっています。大量のデータを管理者なしに大量に処理し安全に運用できるIONはその問題を解決する一つの技術になるかもしれません。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
(images:iStock /antoniokhr・Tuadesk・KOHb)