LayerXがブロックチェーンにおける次世代のプライバシー保護技術「Anonify」の ホワイトペーパー及びソースコード公開
LayerXがブロックチェーンの社会実装に係る次世代のプライバシー保護技術である「Anonify(アノニファイ)」のホワイトペーパーおよびソースコードを公開した。
Anonifyはプライバシーを保護した上で, ブロックチェーンを改ざん不可能なデータ共有基盤として用いることを可能にするシステムで、通常のブロックチェーンのように、状態遷移の履歴を平文のまま記録するのではなく、TEE(Trusted Execution Environment)を通して、暗号化された命令データをブロックチェーンに記録していくとのことだ。
Anonifyが実現する6つの機能・性質として「秘匿化・匿名化、柔軟な状態遷移、監査機能、オンチェーンアセットとの相互交換、プラットフォーム非依存、ロバスト性」などが挙げられている。現段階でユースケースとして想定されているのは「証券決済・資金決済、デジタルID、トレーサビリティ、サプライチェーンファイナンス」とのことだ。つまり医療領域など個人情報として機密性が求められる領域、金融領域など競合他社との兼ね合いで秘匿性が求められる領域と考えられる。
あたらしい経済編集部はAnonifyのチームリーダーで、リードエンジニアの須藤欧佑氏へ取材し以下のコメントをいただいた。
−TEEをビジネスサイドの人間が理解するためには、どのようなプロトコルだと認識すればよろしいでしょうか?
須藤氏「TEEはPCを触っている人でもアクセスできないデータ領域がPCの中にあるみたいなイメージです。このアクセス制限をソフトウェアではなくハードウェアレベルで保証しています。Anonifyではこのアクセスできない領域の部分で、取引情報の暗号化や復号を行なっています」
−Anonifyのデータを、監査法人にはどのように共有することを想定していますか?
須藤氏「例えば、実際の監査法人としての”監査業務”は必要になります。Anonifyのドキュメントで記載している”監査”は、特定の権限を持っていれば秘匿化されたデータを閲覧できる意味になります。 ブロックチェーン上のデータが全て秘匿化されて誰も見ることができなかったら違法な取引をしても誰にもバレないことになってしまうので、当局など特別な権限を持つ主体には閲覧可能にするための機能です。この監査主体は、ブロックチェーンのノードを運営していて、ブロックチェーン上に記録される暗号文を復号できる鍵を持っている形になります。だから、ブロックチェーン上に暗号文が共有されることでそれを復号しデータを取得できるイメージです」
編集部のコメント
Anonifyが興味深いところは、これまで特定のブロックチェーンやソフトウェアでしかプライバシーの問題を解決できなかった課題を解決しうる技術ソリューションになるところだと思われます。LayerXは様々な企業とのプロジェクトを進めているので、今後どのような採用事例が出てくるか、楽しみです。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
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