【富士通、BOOSTRY担当者コメントあり】富士通とBOOSTRYが共同でブロックチェーン基盤のビジネスモデル構築の検討開始
富士通と野村ホールディングスと野村総合研究研究所が共同出資するブロックチェーン領域専門会社のBOOSTRY(ブーストリー)が、複数の取引サービスを相互に接続するブロックチェーンプラットフォームサービス提供に向けたビジネスモデル構築の検討を開始したことを発表した。
両社が共同でビジネスモデル構築の検討を開始したのは、2020年3月から4月にかけてデジタルアセット取引と決済を権利移転する実証実験を行い、良い結果が得られたからとのこと。実証実験の内容としては、富士通のクロスチェーン技術「コネクションチェーン」を介して、BOOSTRYのブロックチェーンを活用した分散型資金調達プラットフォーム「ibet」と、疑似的な資金決済網とを接続し、「ibet」内でデジタルアセットの権利移転とそれに伴う資金決済網内での決済を行えるかが検証された。
あたらしい経済編集部は、富士通とBOOSTRYに取材を行った。
富士通への質問は、「なぜ金融企業はデジタルアセットの流動性を高めるニーズがあるのでしょうか。そしてそのニーズに対して、他のパブリックなブロックチェーンと比較した際に富士通のコネクションチェーンは何が優れているのでしょうか」。
そしてBOOSTRYへの質問は「なぜ様々なデジタル証券は、今後オープンに接続されて、取引されるべきだとお考えなのでしょうか」。
Q.なぜ金融企業はデジタルアセットの流動性を高めるニーズがあるのでしょうか。
富士通の広報担当者「金融企業がデジタルアセットの流動性を高める理由として、現状ユーザは、様々なアカウントで証券投資やデジタル決済を行わなければならず、ブロックチェーンを活用することでアカウントベースでシームレスな決済取引などを行えるようにしていきたいのだと考えています」
Q.金融企業のニーズに対して、他のパブリックなブロックチェーンと比較した際に富士通のコネクションチェーンは何が優れているのでしょうか
富士通の広報担当者「そしてコネクションチェーンの特徴としては、様々なブロックチェーンを連携でき、トランザクションの処理をロールバックができることが特徴です。」
Q.なぜ様々なデジタル証券は、今後オープンに接続されて、取引されるべきだとお考えなのでしょうか
BOOSTRYの担当者「現状の資本市場は画一化された商品を特定の金融機関のお客様に販売するというプロセスができています。この仕組みは大規模な資金調達で金銭報酬を伴う商品を一定層に販売することは実現できるものの、企業のファン作りによる長期的な顧客との関係構築には十分な機能を果たせてないと考えます。
BOOSTRYのミッションは権利のデジタルアセット化による挑戦者の支援です。証券に限らず様々なデジタルアセットを挑戦者である発行体が自由に設計、販売でき、またその後自由に流通するという”ファン作り×ファイナンス”という世界観を普及させていきたいと考えています。
この世界観の実現は、発行企業、様々な金融機関や決済事業者、他の種類のトークンや情報ネットワーク保有企業との連携が重要であり、そのためには本件のような相互運用性を高めるオープン化の取組は是非多数の企業様にもご参加頂きたいと考えています。それにより決済の利便性やリスク低減、様々な利用方法の拡充が図れると考えます。」
なお両社は、2020年度下期中に異なる基盤間で複数の取引をシームレスに実現する相互接続プラットフォームサービスの提供を目指すとのことだ。
編集部のコメント
富士通の子会社である富士通研究所は5月15日にアクセンチュアと共にコネクションチェーンを活用し、アクセンチュアのブロックチェーン間統合技術である「Blockchain Integration Framework(ブロックチェーン インテグレーション フレームワーク)」を融合させ、ブロックチェーンの相互接続を実現する基盤開発プロジェクトとしてHyperledger Cactus(ハイパーレッジャー・カクタス)を立ち上げたことを発表しています。
そしてBOOSTRYは、3月30日に野村総合研究所(NRI)が発行した「デジタルアセット債」と「デジタル債」への技術ソリューション提供を行っていました。
両社が提携することによって大きなインパクトのあるブロックチェーンソリューションが生まれることを期待したいと思います。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
イメージ:antoniokhr