Linux Fondationがデジタルアイデンティティの標準化を実現するためのコンソーシアム「ToIP」を発表
Linux Foundation(リナックスファンデーション)がデジタルアイデンティティの標準化を実現すためのコンソーシアム「Trust over IP (ToIP) Foundation」の立ち上げを発表した。
このコンソーシアムの目的は、信頼されたデータとデジタルアイデンティティのためのさまざまなソリューション間の相互運用性を確保すること。
コンソーシアム参加メンバーは、コントリビュータ企業としてR3、DIDx(ディーアイディエックス)、通常参加メンバーとしてAccenture(アクセンチュア)、Evernym(エバーニーム)、IBM(アイビーエム)など合計17社が明らかになっている。
Linux Foundation Exective DirectorであるJim Zemlin(ジム・ゼムリン)氏は「ToIPは、インターネットのデザインに欠けていたデジタルトラストレイヤーを提供し、人間の可能性の新しい時代を引き起こすことを約束しています。そしてオープンスタンダードとプロトコル、業界全体のコラボレーションとToIPの中立的なガバナンス構造の組み合わせによって、デジタルアイデンティティと検証可能なデータ交換のような新しい領域をサポートしていけます」とコメントしている。
IBMのDecentralized identity部門のCTOであるDan Gisolfi(ダン・ジソルフィ)氏は「今日のデジタル経済においては、企業と消費者の間で交換されるデータは正当な所有者によって送信されたものです。だからユーザーは、今データを受信者が正しいものであると容易かつ確実に受け入れられる方法を必要としています。そして現在、この課題を解決するためにプライバシーに焦点を当てた多くのイノベーティブなソリューションが開発されていますが、複数のベンダーの間で信頼できるデータを交換するためのrecipe book(台帳)は存在していません」とコメントしている。
今後はインターネット上のアカウント・ベースのIDに存在する仲介者をなくし、暗号化され検証可能なデジタルな信用情報に移行することで、最終的には仲介者なしで自分のアイデンティティ、属性、または関係性を証明することができるようにしていきたいとのこと。
編集部のコメント
ToIPには2つの標準化作業グループ、Technical Stack Working Group(テクニカルスタックワーキンググループ)とGovernance Stack Working Group(ガバナンススタックワーキンググループ)があります。そして2つの開発作業グループ、Utility Foundry Working Group(ユーティリティ・ファウンドリー・ワーキンググループ)とEcosystem Foundry Working Group(エコシステム・ファウンドリー・ワーキンググループ)が存在しています。どちらの作業グループもToIPユーティリティ・ネットワークやToIPデジタル・トラスト・エコシステム全体の開発に協力したいプロジェクトのために存在しているとのことです。
しかしLinux Foundationが中心的に関わっているオープンソースプロジェクトHyperledgerにもデジタルアイデンティ領域に似たようなコンソーシアムがあることから、どう棲み分けして実働していくのか注目すべきだと「あたらしい経済」編集部は考えています。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
(images:AliseFox)