世界経済フォーラムがブロックチェーン開発のためのツールキット「Blockchain Dployment Toolkit」を発表

世界経済フォーラムがブロックチェーン開発のためのツールキット「Blockchain Dployment Toolkit」を発表

World Economic Forum(世界経済フォーラム)が、企業などにブロックチェーン基盤のサプライチェーンシステムが導入される際に発生しうる問題に対処するためのガイドラインである「Blockchain Deployment Toolkit(ブロックチェーンデプロイメントツールキット」を公開した。

ツールキットは、サイバーセキュリティー、個人データ運用、コンソーシアムガバナンスなど14の異なるモジュール毎に詳しくドキュメンテーションされている。

ツールキットの目的は、政府や企業がより責任あるブロックチェーン展開をサポートし、早期導入のリスクを取り除き、意図しない結果を慎重に考慮することができるようにすることである。それはサプライチェーンのコンテキスト内でブロックチェーンソリューションを展開するための重要な成功要因とリスク要因を事細かくドキュメンテーションしたことで可能になったとのこと。

アラブ首長国連邦のアブダビデジタル局(ADDA)とサウジアラビア王国の国有石油会社であるサウジアラムコは、このツールキットがブロックチェーン技術の支援の役に立ったとレポートに記載されている。

ADDA技術・政策部門のエグゼクティブディレクターであるAbdulla Al Kendi(アウドゥラ・アル・ケンディ)氏は「ブロックチェーン技術提供の際に、実施段階で何をすべきか、そしてどのような支援を提供すべきかという点に対して、ツールキットは明確な答えを示しくれていて非常に助かりました。ツールキットはブロックチェーン事業に多くの客観性を与えて、コンソーシアム展開に関する判断や決定における主観性を減らしてくれました」とコメントしている。

サウジアラムコは「ブロックチェーン技術の支援において、ツールキットは計画と実装の間のすべての領域と側面におけるチェックリストを提供してくれていて役立った」とレポートに記載している。

今後コロナウイルスの危機に直接対処するその他のプロジェクトでも、ツールキットのガイダンスが採用される予定とのこと。そしてその中には、エンタープライズ・ソフトウェア企業のR3 のイニシアティブが含まれていて、R3はパンデミック再保険の購入を完了するためにブロックチェーンを活用したコンセプト実証プロジェクトにツールキットを適用する予定となっているとのこと。

編集部のコメント

世界経済フォーラムは4月6日に、「コロナウイルスによるサプライチェーンの崩壊にどのようにブロックチェーンは機能するのか」という記事を公開しました。

そして4月10日にはデロイトとの共同研究で執筆したブロックチェーンの相互運用性に関するホワイトペーパー「Inclusive Deployment of Blockchain for Supply Chains: Part 6 – A Framework for Blockchain Interoperability」を発表しました。世界経済フォーラムはブロックチェーンに関するチームを2つ持っていたり、独立した世界機関の中でもっともブロックチェーンに関する研究や発表が盛んだと考えられます。

そして今回発表されたBlockchain Deployment Toolkitはサプライチェーンに関する事細かい問題点や開発ポイントがドキュメンテーションされていて、企業にとって間違いなく役立つものだと考えられます。独立した世界機関によって情報が透明化され、共有されることはブロックチェーン発展に欠かせない動きだとあたらしい経済編集部は考えています。今後も世界経済フォーラムの動きには注目し続けます。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)

イメージ:artsstock,Sakramir,xu-bing

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【11/20話題】ビットコインが94000ドルの最高値更新、サントリーが数量限定ビールにアバランチNFTなど(音声ニュース)

ビットコイン(BTC)が最高値更新、94000ドル到達、サントリーが数量限定ビールにNFT、アバランチ採用で、ロシア、低電力地域での冬季の暗号資産マイニング制限、日本円ステーブルコイン「JPYC」活用で健康経営の実証実験へ、セキュリタイズ、RWA投資家がDeFiで資産運用できる新機能「sToken」リリース、パクソスがMiCA準拠ステーブルコイン発行へ、フィンランドの電子マネー機関を買収で、a16z支援のForta、悪意あるトランザクションをブロックするファイアウォール提供開始、KlimaDAO JAPAN、カーボンクレジットマーケットの実証実験開始。オプテージ・みずほFG支援で、Crypto[.]com、豪州でサービス拡大、Pendle、利回り取引の新プラットフォーム「Boros」発表

Sponsored

EVM互換のL1ブロックチェーン「Monad」、テストネットを段階的に公開へ

高性能なEVM(イーサリアムバーチャルマシン)互換のレイヤー1(L1)ブロックチェーン「モナド(Monad)」のテストネットが、順次公開される予定であることがWeb3メディア「The Block」の報道で明らかになった。なおモナドの公式Xアカウントでは、11月16日時点でテストネット公開に関する正式な発表はされていない