「ハンコの代わりにブロックチェーンを」ケンタウロスワークスが電子署名システム「電子実印」の無料提供開始
株式会社ケンタウロスワークスが、ブロックチェーンを利用した電子署名システム「電子実印」を4月29日より無料提供開始したことを同日発表した。
株式会社ケンタウロスワークスはブロックチェーンを用いた事実証明アプリおよび電子署名アプリの開発などを行っている企業。同社は今年2月に発足した、日本のコンテンツの著作権保護と流通拡大を目指す、自律分散型ブロックチェーンコンソーシアム「Japan Contents Blockchain Initiative(ジャパン・コンテンツ・ブロックチェーン・イニシアティブ)」の創設メンバーである。
電子署名システム「電子実印」はスマートフォンとブロックチェーン技術を組み合わせ、ハンコを押さなくても「誰が、いつ、何の書類に署名したのか」を手軽に証明できるシステムとのこと。
同システムではWEBアプリで書類を送信し、スマホアプリで電子署名をする。電子署名はイーサリアム上に改ざん不可能な署名として記録される。またオンライン本人確認で署名者の本人性を担保するとのことだ。
なおスマホアプリについては現在iOSのみ対応しており、Android版については開発中とのことだ。
編集部のコメント
株式会社ケンタウロスワークスは3月に株式会社博報堂発足の「HAKUHODO Blockchain Initiative」と原本株式会社と共同で、ブロックチェーン技術を活用して、デジタルコンテンツの著作権を管理・保護するサービスC-Guardian(シー・ガーディアン)を開発したことを発表しています。「C-Guardian」はコンテンツをWebサイトに公開すると、ブロックチェーン上に著作物(テキスト、画像、動画)の情報を記録し、機械学習技術を用いて登録された著作物と類似するコンテンツがインターネット上に掲載されていないか常時探索をします。これにより著作権を侵害しているWebサイトを発見すると、当該サイトおよびコンテンツの情報をブロックチェーン上に記録、証拠として保全をするとのことです。
現在新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、行政手続きに必要な対面や押印といった慣習や法規制が早急に見直されています。緊急経済対策に盛り込んだ助成金や給付金を窓口に並ばなくても受け取れるようにする為です。安倍晋三首相は4月27日に首相官邸で開いた経済財政諮問会議で、行政手続きや民間契約のテジタル化を進めるよう関係閣僚に指示しています。安倍首相は押印や書面提出など慣行の見直しについて「着手できるものから順次、実行していただきたい」と述べています。
またGMOインターネットグループでは4月17日にグループ内での印鑑手続きの完全廃止について意思決定を発表しています。
押印のデジタル化はコストの削減や契約の一元管理などのメリットがあります。押印のデジタル化には改ざん性の高いブロックチェーン活用のシステムが有効です。古い慣習を変えテクノロジー社会に合わせて環境を柔軟に変化させていくためにも、ケンタウロスワークス社がブロックチェーン活用の「電子実印」を無料提供したことは社会的に意義があることだとあたらしい経済編集部は考えます。
※2021.2.13追記
株式会社ケンタウロスワークスは「電子実印」のサービスを2021年2月12日に終了することを発表しました。
ケンタウロスワークスはサービス終了の理由を「ユーザーの署名情報をパブリックEthereumブロックチェーンに記録する際に必要なトランザクション費用の高騰により、 今後も安定的にサービスを提供する事が難しくなった」と発表しています。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:RomanOkopny,dalebor)