金融安定理事会(FSB)がグローバルステーブルコインに関する協議文書「Addressing the regulatory, supervisory and oversight challenges raised by “global stablecoin” arrangements」を発表。
この背景には2019年6月6日に行われたG20でグローバルステーブルコインに関する議論がある。その後、G20はFSBと国際通貨基金(IMF)に対してステーブルコインに関する規制問題の調査を依頼した。
FSBが発表した文書では、主にグローバルステーブルコインの「金融安定化に関するリスク、ステーブルコインの脆弱性」について記載されている。
金融安定化に関するリスクは、新興市場や発展途上国(EMDE)で特に懸念されているとのこと。例えば不況時には、発展途上国の自国通貨からグローバルステーブルコインへの逃避が発生し、為替レートや国内銀行の資金調達に影響を与える可能性があるとのこと。
そして多くのモデルでグローバルステーブルコインは原資産にペッグしているため、市場リスク、流動性リスク、信用リスクといった金融リスクに対して脆弱であるとのこと。
編集部のコメント
FSBの文書では、グローバルステーブルコインのあるべき姿について10個のポイントが共有されています。
1.グローバルステーブルコインは、総合的に規制・監督されるべき。
2.グローバルステーブルコインは、リスクに応じて規制されるべき。
3.グローバルステーブルコインは、監督の格差を防ぐために、法域の調整を通じて国際的に規制されるべき。
4.グローバルステーブルコインは、包括的で説明責任を明確にしたガバナンスの枠組みを持つべき。
5.グローバルステーブルコインは引当金、オペレーショナル・レジリエンス、サイバーセキュリティ、AML/CFTのための効果的なリスク管理を実施される必要がある。
6.グローバルステーブルコインはデータの保護、管理、保存のための堅牢なシステムを持つ必要がある。
7.グローバルステーブルコインにはリカバリープランが必要である。
8.グローバルステーブルコインは仲介機関を含んだ機能について透明性のある情報を提供する必要がある。
9.グローバルステーブルコインは償還権の行使可能性を法的に明確にするべき。
10.グローバルステーブルコインに関する事業を行う前に、そのエンティティは管轄区域のすべての規制、監督、および監督上の要件を満たす必要がある。
今回のFSBの文書も含めて、CBDCやLibraのようなグローバルステーブルコインに関する議論は進んできたように思えます。
1月24日に国際決済銀行(BIS)が論文で、各国のステーブルコイン開発が実装段階に入っていることを明らかにしていました。
いずれにせよグローバルステーブルコインの浸透は、政府、民間企業、国民への経済的利益をより満たすものであってほしいと、あたらしい経済編集部は考えます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済)
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