ニトリが新たにブロックチェーンを活用した物流システムを秋にも稼働か
株式会社ホームロジスティクスが、今秋にも新たにブロックチェーンを使った物流システムを稼働することが4月8日日経新聞が報じた。
ホームロジスティクス社は、家具・インテリアチェーンを展開する株式会社ニトリホールディングスの物流事業を行う子会社だ。同社は約150の中小運送会社と委託契約し、商品の宅配や全国約550店舗への搬入を担っている。
新たな物流システムは、AIによる配送ルート策定や在庫管理の高度化など約500の機能も開発し、運送会社に導入を促す。開発費は数億円とのことだ。
日経新聞が行ったホームロジスティクス社のCIO(最高情報責任者)である深作康太氏への取材によると、同システムにブロックチェーンを採用した狙いは「紙伝票の撤廃」「運営会社との情報共有」「積載率の向上」の3つがあると説明した。
ブロックチェーンにより契約や決済情報を管理することで正確な取引履歴を保存し、紙の伝票管理で発生していた確認の手間やリスクなどを省き、サプライチェーン全体で納期短縮をする。また提携運送会社の各ドライバーの得意業務を把握し、運営会社と情報を共有することで最適な人員配置を目指す。そしてトラックの空荷状態を減らし、他社の荷物も共同輸送する等機動的に発注できる仕組みを整える考えとのことだ。
同社は今後、独自の自動倉庫システムや搬送ロボットなどを、秋に稼働させるブロックチェーンの仕組みと組み合わせ、中小に限らず運送事業者に提案することを目指すようだ。これにより同社はDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するコンサルティングを100億円事業に育てる計画とのことだ。
編集部のコメント
ホームロジスティクス社のブロックチェーンの取り組みは、2月に日比谷BASEQにて開催された「Legacy Tech Conference 2020」内のパネルディスカッションにて語られていました。
パネルディスカッションには、ホームロジスティクス社CIOの深作康太氏、株式会社オプティマインド代表取締役社長の松下健氏、そして株式会社LayerX代表取締役CEOの福島良典氏が登壇しました。
同パネルディスカッションで説明されていたのは、ホームロジスティクス社の物流には、消費者への配送に関して一部、オプティマインド社のラストワンマイルに特化した配送ルート最適化サービス「Loogia(ルージア)」が導入されています。Loogiaは、AIを活用することで、誰でも簡単に配送までの最適なルートを作成し、手間のかかる複雑な配車計画を自動作成し最適な配車計画を組むことができるとのことです。
そして、ホームロジスティクス社の物流システムのブロックチェーン設計は、LayerX社が行っており、ブロックチェーン設計の他、広範囲な物流事業のアップデートについても福島氏と共に検討をしているとのことでした。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
(images:NatalyaBurova)