韓国中央銀行がCBDCのパイロットテスト実施へ
韓国の中央銀行である韓国銀行が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)のパイロットシステムの構築とテストに向けた推進計画を開始したことを、4月6日同行のプレスリリースによって明らかにした。
同計画は、CBDCの発行に関する技術的課題と法律的課題の特定を目的とし、技術的要件として要件定義や実装技術の検討、業務プロセスの分析、パイロットシステム構築が行われ、法的にも現在の銀行法の改正が必要な場合については具体的な改正案を検討するとのことだ。
またプレスリリースによると、CBDC主要国の研究共有の為に各国中央銀行との交流と協力を強化するとしている。
同計画は、2月に金融決済局に新設されたデジタル通貨研究チームが主導し、技術分野と法律分野の専門家と共に実施され、技術検討における全推進工程を2020年3月~2021年12月の期間とし、進捗状況によって日程調整を柔軟に行うとのこと。
同計画におけるスケジュールは、「CBDCの設計と要件定義」(2020年3月〜7月)、「実装技術の検討」(2020年4月〜8月)、「業務プロセスの分析」(2020年9月〜12月)、「パイロットシステムの構築とテスト」(2021年1月〜2021年12月)となっている。
また法律要件と各国中央銀行との交流のスケジュールについては、技術検討の進捗状況に合わせていく。
編集部のコメント
韓国銀行は「昨今の支払い決済分野の技術革新は急速に成長しており、民間の市場拡張性を予見することは困難な状況である。現時点でのCBDC発行の必要性とは別に、国内外の支払い決済環境の変化に先制的に対応するためにCBDC導入による技術、法律的必要事項を検討する」と同推進計画についてプレスリリースにて述べています。
韓国銀行がCBDCを導入することは現時点では未定ですが、中国をはじめとする国家のCBDC採用への取り組みは進んでいる状況です。また今月3日にはBIS(国際決済銀行)が発表したレポート「Covid-19, cash, and the future of payments 」のなかで、「決済の格差を埋める手段として、各国の中央銀行が銀行口座を持たない人々のためのアクセス・オプションと、CBDCなど全国民に適した決済システムの技術的インターフェイスを提供できるように設計するべきだ」と結論づけています。
韓国がCBDCのパイロットシステムの構築とテストが終了する2021年12月ごろには、各国のCBDCを取り巻く状況はさらに大きく変化をしているかもしれません。その頃に韓国が現在と同じ方針で対応を続けていくのか、その動向に非常に興味があります。
コメント:大津賀新也(あたらしい経済)
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