中国テック企業OneConnectと中国商港グループ(China Merchants Port Group )が、中国南部の港湾向けブロックチェーンプラットフォームの構築に向けて協力しているとChina Newsが報じた。
このブロックチェーンプラットフォーム構築のプロジェクトの名は、広東省-香港-マカオのグレーターベイエリア港湾物流・貿易円滑化ブロックチェーン・プラットフォーム・プロジェクト(the Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area Port Logistics and Trade Facilitation Blockchain Platform Project)となっている。
このプロジェクトの目的は、港湾のデジタル化に取り組み、貿易取引のプロセスをアップグレードして効率化を図ることと報じられている ・第1フェーズでは、税関、港湾事業者、運送業者、荷主、貨物輸送業者、金融機関などのステークホルダーをつなぐスマートポートロジスティクスプラットフォームの構築に取り組む予定のようだ。
そして第2フェーズでは、貿易に関する情報とお金の取引をブロックチェーン活用することで、効率性を高めることに取り組む予定だ。ブロックチェーンを活用することで、ネットワーク参加者間で信頼されたデータを共有することが容易になり、取引の齟齬や摩擦を減らすことができるようになると考えているとのこと 。
深セン市の税関のコミッショナーを務めるChen Xiaoying(チン・ジャオイン)氏は「2019年に、深セン税関、中国商人(China Merchants)と平安(Ping Ann)は、港全体でブロックチェーン技術を起動するプロジェクトを始めました。
そして、緻密な研究とディスカッションを繰り返し、数多くのデモンストレーションを経て、今日ついにプロジェクトの実用的な段階に移行することができました」とコメントしている。
編集部のコメント
OneConnect社は、2019年末にアメリカでの新規株式公開(IPO)で約37億ドルの評価額で3億1200万ドルを調達しました。同社は自社をAI企業として経営を行なっていますが、ブロックチェーンやIoTなど、金融業界に提供する技術は他にもいくつかあります。
実際に中国の大手銀行や都市部の商業銀行の大半がOneConnectの顧客となっています。また、日本のソフトバンクもOneConnectの投資家です。
OneConnectは中国政府や銀行と密にブロックチェーンプラットフォームを開発し、運営をしています。例えば、2020年1月2日に中国広東省がOne Connectと共に中小企業向けのブロックチェーンベースの融資プラットフォームをローンチしたことが、新浪財経が明らかにしています。
このブロックチェーンプラットフォームの最大の目的は、市中銀行が中小企業に対して融資するプロセスを合理化することです。中小企業はこのプラットフォームに輸出輸入記録、知的財産、財務情報などを記録することで、市中銀行がより精密な信用スコアを測れるようになり、融資しやすくなるとのことです。
そして、このプラットフォームは既に、1100万社以上の企業と129の金融機関の情報を収集していて、現地のスタートアップ企業と、中国工商銀行、中国建設銀行、平安銀行などの銀行との間の3件の取引を処理したようです。
あたらしい経済編集部は、OneConnectがアメリカでも上場していることから、中国内のプロジェクトだけでなく、アメリカを中心に世界中のブロックチェーンプラットフォームを開発し、連携させることを狙っているのではないかとあたらしい経済編集部は考えます。
コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)
イメージ:(Igor-Korchak,stockdevil)